逃げ上手の若君 13巻

 決死の戦いに赴く頼重。怒り、止めようとする時行を泰家が制止します。

 諏訪家全体に累を及ぼさない為、首謀者頼重の死は明確に示されねばならない…。

「あれほどの郎党を持ったそなたは奴の死を責めてはいかん 罪悪感を感じてもいかん ただ誇れ! それが武士の主君としての責務だ!」

 最後の戦場を暴れる北条軍。しかし間もなく足利に包囲され、滅びを待つばかりに。

「乱の大将が意志弱き傀儡の場合 その乱には担いだ首謀者の名がつきます」

「この乱は『諏訪頼重の乱』と呼ばれるでしょう 貴方の名をそんな形で残したくなかった」

 相対した尊氏が頼重の命を惜しみます。

 …その時、戦場に響き渡る鈴の音。

「おーにさーんこーちら てーのなーるほうへ」

 …時行!頼重に謝るために助け出す、と単身戦場のど真ん中へ…武器も鎧も全て捨て、身一つで!

「この戦の主がこの戦に決まりを定める 時行を殺せば尊氏の勝ち 逃がせば全てお前の敗けとする!」

 一軍を相手の鬼ごっこ。逃げ上手の…変態の本領発揮ですw

 鈴の音で幻惑しながら頼重の元にたどり着く。

「さっきは御免なさい こんな場所でなんてすが…親子の契りを結んで下さい」

 頼重に髪を切らせる時行。

「一度も切った事のない神聖な髪です きっと貴方に力を 神の加護を貴方に 父上!」

「…この上ない恩賞だ 主君が私を親と認めてくれた」

 この混乱で時行は頼重と共に脱出に成功。縁の寺に身を潜めますが、神力が抜けた頼重は既に余命幾ばくもなく…。

「まず尊氏から『人間の動揺』を引き出しなされ」

「あのような人間離れした動揺ではなく ごく平凡な人間のように動揺した時 神力は奴から逃げてゆき 人の域まで引きずり下ろせましょう」

 尊氏攻略のヒントを残し、頼重は自刃。その遺体は時行と同年齢の少年の遺体と共に顔の皮を剥がし、時行の行方をくらます一助に…。

「最後まで鋭い策士だったな諏訪明神は!『諏訪頼重の乱』の主として未来まで名を残すだろう!」

 ですが戦に参加した兵たちの間では、この戦は「中先代の乱」の名で定着していました。「先代」の天下人の跡継ぎで「当代」の天下人にはなれなかった…言わば「中先代」。

 その乱には既に時行の名が刻まれていたのでした! 少年は傀儡などではない、と皆に認識されていた…何でも思い通りになる尊氏のわずかな計算違い。 魔人·足利尊氏に対抗しうるのはまさに北条時行だけなのかも知れません。

 時行が雌伏する内に日本は大きく変わります。後醍醐天皇と尊氏がついに決裂。朝敵認定されながらも新田義貞を破り京に迫る!

 奥州の雄、北畠顕家に敗北を喫しますが、落ち延びた九州で何故かゴリゴリの朝廷派の武士たちを全部味方につけ…歴史上何度かある「わけがわからんけど尊氏の勝ち」の一つ…だそうです…。

 西国を治め、再び京の後醍醐帝にせまる尊氏。彼は後醍醐帝の政敵の皇族を帝に立て…

「うん これでもう朝敵じゃないな!」

 これから長く続く南北朝の混乱はコイツのせいだったのか!

 尊氏は宿将楠木正成を討ち取り、京を奪還。後醍醐帝は吉野に落ち延び、南北朝の基本態勢が出来上がります…。

「南北どちらへ?」

「陽が差す方へ!」

 二年の時が経ち、伊豆に潜伏していた時行たち逃若党はついに表舞台へ。

 鎌倉幕府を滅ぼした後醍醐帝に恨みを忘れ臣従し、尊氏を討つ、と。

 その強かさと時流を読むセンスは既に少年のものではなく、ひとかどの武将の風格でした…。

 さあ時行派手に負けました。隠遁生活でもなんだかあんまり悲壮感がないのは「逃げ」を楽しむ故かw

 生涯の盟友、北畠顕家も登場し、逃若党の仲間も成長してより強く…玄蕃なんか炮烙を自作しようとしてますね。時代が許す限りの強化をする気だなw

 なんとNHKで取り上げられたりでびっくりでした。アニメも24年には開始だそうですが、この先ってそんなにエピソード長くないような気が。

 アニメ1月開始は多分ないし、展開に容赦のない松井先生のこと…ひょっとするとアニメ開始と同時くらいに本編フィナーレを迎えてしまうのでは?w

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