アラフォーになった最強の英雄たち、再び戦場で無双する!! 2巻

「絶体絶命には慣れているさ…」

 暗黒七星、ヘビーリィレイとボルケーノ二体を相手取り、ひとり戦うアラン。

 『英雄』とはいえ全盛期から25年。体力も神経も全てが衰えている…! 防御の弱いところを狙ってダメージを与えてはいますがアランの圧倒的不利…。

 しかし、アランは息を切らせながらも冒頭のセリフを吐きます。 彼は諦めていない!

 ヘビーリィレイの高圧水撃とボルケーノの溶岩弾。間断ない攻撃を初歩的な魔法を組み合わせて避けていくアラン。

 1mだけ瞬間移動する『スタンダード·ワープ』、空気を固めて足場にする『空脚』、2秒間だけ自分の幻影を映し出す『スタンダード·ミラージュ』…。

「ドウヤラ…オ前ハ『魔法』ノ大技ガ使エン…ツマリ『属性魔法』ガ使エナイ…『無属性』ナノダロウ…!?」

 ボルケーノが見抜きます。この世界の魔法には6つの属性があり、殆どの人間はどれか一つの属性は使えるとされている…それが無属性ということはほぼ魔法が使えない…“無能力”である事を意味する!!

「だがそれでも…なんとかして見せるさ」

 汗だくになって、それでも弱音を吐かないアラン。

 サイモン長官なんかは「騎士団長がこんなに“無才”だとはなっ…!!」とか早速貶してますが…アランはかつて暗黒七星に勝ちを納めている訳で…。

 基礎魔法を駆使し、二体をきっちりあしらって行く!

「基本の技術をどこまでも正確に行う それを極限まで磨き上げた者… そう…それが…アラン君ですよ!!」

 当たり前の事を圧倒的なレベルでやる。これが低スペックながら『百年戦争』を生き抜いたアラン·グレンジャーの闘い方。

「人間は『知識』と『訓練』と『経験』でとこまでも!! 強くなれる!!」

 しかしそこに現れたのは…

「手間取っているねお二人さん…来てやったぜ 助太刀にな…」

 暗黒七星 3人目 『落雷(サンダーボルト)』!

 その雷撃についに倒れるアラン。しかし彼はなお立ち上がる!

 そもそもアランは転生者でした。それもいわゆる『ギフト』等なにもない…。 平凡な人生、安全で堅実な道を…「逃げ」続けてしまった人生を後悔した「彼」は

「もう一度『生』を得たなら今度は世界で一番困難な事に真っ向から挑戦する!!!」

 そう誓い…果たして転生したアラン。『百年戦争』によって荒廃したスラム街に、特殊な能力は何もない、ごく平凡な人間として!

 そこから「魔王を倒し、この世界を救う」事を目標に尋常でない努力を続け、騎士団へ入団するときの“属性検査”…まさかの“無属性”!

「こんなに何もなければ もう前に進むしかない…じゃないか… ならば躊躇なくこの『命』 目標に捧げよう」

 無属性である事を知り、覚悟を決めたアランは己の道をただ突き進む事を決めたのでした。その自分の運命に「ありがとう」と感謝まで捧げて…!

 暗黒七星3人の攻撃を避け続けるアラン。

 業を煮やした3人は融合技「スチームエクスプロージョン」…大規模水蒸気爆発で一気にケリをつけようと…!

 完全にアランが死んだと思って逃げの姿勢に入るサイモン長官。

 対して落ち着き払った『七英雄』の仲間たち。

「アンタがもしヤツが『死んだ』って言いたいのなら あそこにいるのは…誰だい…?」

 そこに立つのは不敵に笑うアラン!

「あれが…『勇者』だ!」

「我々『七英雄』をまとめるリーダー…『アラン·グレンジャー』さ!!」

「フフフ… ようやくつながったぞ」

「オレは待っていた この『刻』を… 一度閉じた『属性』が…再び目覚める…『回路』が開く…!! この『刻』を…!!」

「今…『光の剣』が…完成する…!!」

 …六属性全てに適性がない、と言われたアランは研究の末…自分に合う7つ目のオリジナル属性『光』を作り出していた! しかもこの『光属性』は人間には効果がなく、『魔人』と『魔人の放つ魔力』に対しては効果が『倍加』する!!

 かつて魔人を滅したその力、今復活!

 心光一閃 ブレイブライト·エクスカリバー!!

 三体の暗黒七星が一瞬で消滅!!

「アランが『七英雄』のリーダーなのは戦闘力が高いからか…? それは違う どんなに困難があろうとあきらめない“勇気”を持っているからだ… それが我々無軌道な個性を持つ『七英雄』のリーダーたる証…」

 しかし喜びもつかの間、強大な魔力を持った者が現れます。

「久しぶりだな…25年振りか…『光の勇者』 アラン·グレンジャー」

 それはよく知った姿…。

「魔王 ベルゼビュート!!!」

「私はお前たちに『宣戦布告』をしに来たのだ」

 仇敵アランを万全な状態で打ち破ってこそ、魔王の復讐は成立する!

 まずは『封印石』を護る『七王国』の王城を攻める、と宣言する魔王。

「楽しみにしているぞ 貴様との“再戦”をな!!」

 ひとまず撤退する魔族。形はどうあれ、人類は暗黒七星を降し、魔族の攻勢を押し返す事に成功したのです。

「ひとまずこの『勝利』を喜ぶとするか…!!」

 …魔界ではベルゼビュートの元、滅びた3体より更に強い『真·暗黒七星』が集い、再侵攻を始めようとしていました。

「準備は良いか? それでは “戦争”を始めよう」

 初代ウルトラマンの必殺技「スペシウム光線」は、実はウルトラ一族なら誰でも使える基本技で普通はそこから別の技に発展していくのですが、ウルトラマンはその基本技を磨きに磨き抜いて必殺技レベルまで昇華した…という設定があるそうです。

 特殊な技術に頼らず、基本を鍛えに鍛えて実戦に臨むアランに通ずるものがありますね。年代を重ねた事実に対するアンサー。アラフォーの強さへの絶大な信頼性です。年を重ねるのは悪い事ではない…と感じさせてくれますね。

 さあこれで魔族からの防衛戦となります。7箇所もあってどこが攻められるか分からない、となれば七英雄だけではどうしたって手が回らないでしょう。改めて若い世代を鍛え直さなくてはならなくなりそうですね。

 ひとつ願いがあるとするなら、アランには「若い連中を守る」ではなく、若者たちの力を認めて「共に戦う」方に行ってもらいたい、と思います。多分それが彼にとっても一番幸せな事だから。

 …いやそれより先にサイモン長官辺りを最前線に放り込みたい気持ちもあるんですがw

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