スパイダーマン:オクトパスガール 1巻

「僕のヒーローアカデミアILLEGALS ヴィジランテ」の古橋秀之先生、別天荒人先生コンビが今度はアメコミの本丸、スパイダーマンに挑みます。しかも主人公は生え抜きヴィラン、ドクター·オクトパス! 「スパイダーマン:オクトパスガール」です。

 今日も今日とてマンハッタンの高層ビル群を飛び回る、片や蜘蛛の糸を操るスパイダーマン。 そして金属製の伸縮自在アームで跳ねるのはドクター·オクトパス!

「ちょっと教えてよドック·オック そのヘルメットどこで買ったの?」

「黙れ!私のヘアスタイルを侮辱することは許さん!」

 …二人の関係性が透けて見えるような会話ですがw

 ですが今回ドックはちょっとミスしまして、高層ビルから落っこちてしまいます。

「あなたの思考パターンを予備のクローン体に避難させます 『死神をやりすごす』のよ」

 緊急システム「アナ·マリア2,0」が慣れた様子で操作を。どうもこのオッサン、「死んでクローン体に乗り換え」を何度かやっているらしい…。科学力と無謀さがとどまるところを知らないなw

「…では幸運をオットー 次に目覚める時は世界のどこか 新しい出会いがあるといいわね」

「ああ 君ともまた会おう 次の生死の狭間で」

 ですが目覚めたドクターはクローン体ではなく、日本人の少女、奥田宮乙葉の体になっていました…。

 猫を助けようとしてトラックに轢かれ、昏睡状態に陥っていたところにドクターの技術が流出した医療機器が使われ、何やかやでバグったコピー情報が乙葉の体に流れ込んた…らしい。

 で、この乙葉、けっこうひどいイジメを受けていまして…。

 転ばされて落とした眼鏡を割られ、

「…なんだよ どうせ安モンだろ」

 この捨てゼリフがドクター自身の地雷も踏み抜いたようで…東京のアジトから持ち出してきたアームが伸びる。

「…そうだな たかが50ドルかそこらの量産品…なにほどのこともない」

「ところでそういう貴様はーー5セントの価値もない腐った眼球をひねり潰されても泣き言は言うまいな!?」

 暴れるドクター。しかしアームのひとつが止まります。この体の持ち主、奥田宮乙葉の意識が残っていたようです。

「アナタこそ誰です!? なんであたしの体に入ってるんです!? なんかそういうオバケですか!?」

 ドクターと話せるようになり、その来歴も聞いた乙葉。

「あっ 知ってます! いつもスパイダーマンに負けてる人!」

 …結構ズバズバ言う娘だぞw

 ドクターの肉体がニューヨークで昏睡状態になっているニュースを聞き、ドクターは意識を肉体に戻す手段を探す事にします。

 それに協力する、と申し出る乙葉。

「うちの伯母さんがいつも言ってるんです 『小さな力でも小さな親切を』って」

 …ああ、これはいわゆるベン叔父さんの言葉「大いなる力には大いなる責任が伴う」に対応する言葉ですかね。皆が出来る限りのことをすれば世の中変わるんでしょうかね…?

 ドクターも乙葉の日常を壊すような事は控える、と約束しますが…どうもお節介というか、「よかれと思ってやり過ぎる」のがドクターの行動パターンの様で。

 乙葉のロングヘアをザックリ切ってツーブロック…いやこれもうカリアゲだなw にしちゃったり、イジメっ子たちをアームでぶっ飛ばしたり。

 イジメっ子の中にも勘の鋭いのがいて、その「多華ちゃん」にはドクター·オクトパスの事情がほぼ全て看破されてます。この娘は実は他のアメコミ系キャラと繋がりがあるようで…。

 でまたこのドクター、グリーン·ゴブリンとか「バットマン」のジョーカーとかと比べると、何と言うか…粗忽? 考えが足りない? 天才なのは間違いないんだけと…いろいろ隙が多いのか欠点というか美点というか…非常に味わい深い性格をしてまして。

 「デッドプール」から出張出演してきたサクラスパイダーと…。

「初めて見る顔だな だが“スパイダー”を名乗る以上は私の敵だ!!」

 とか言って格闘を始めたり、でも結局絆されて協力関係を結んだり。

 またこの無茶苦茶な、ある意味真っ直ぐさはイジメっ子のひとり、泥路木デンコの歪んだ心も糺していきます。バカみたいに全力で「世界を変えてやる!」と叫ぶその姿はヒーローにはない立ち位置…ヴィランであればこそのムーブメントであるのかも知れません。

 ところで現状のドクターは再生の成功例とは言い難く、つまり緊急システムとしては再度「ドクター·オクトパス」の再生を試みて当然、という事になります。

 結果バックアップから再生されたのは“スーペリア·オクトパス”。ドクターの遺伝子にスパイダーマンの遺伝子をかけ合わせた強化クローン体!

「私が“スーペリア·オクトパス”だったのは数年前ーー 奴の記憶もその時点のものだろう」

 その精神性は未熟な“自称ヒーロー”。短絡的な正義を求めるその姿勢はドクター自身と確実にぶつかる!

 さらに前述の「多華ちゃん」が関わっているのがこのスーペリア·オクトパスであるようで、また乙葉にドクターの記憶をダウンロードしたスキャナーも紆余曲折を経てスーペリアの元にある…何をするつもりなのか?

 ドクターのパワーを乙葉がベクトル変えて人助けに向かう、という形式をとるそうです。芯の強さ故に周りから浮いていじめられていた乙葉とその能力と独善性故に孤立してしまったドクター。 二人の化学反応が良い方向に向かうと良いですね。 当面の敵は同じオクトパス、スーペリアですね。

 あまり関係ありませんが、デンコのエピソード周りで批判が結構あったとの事。同じ様な例では「推しの子」のリアリティ・ショーのエピソードも前半は批判が殺到したらしいてす。

 …劇画やレディコミならともかく、少年青年マンガのカテゴリーでは「後に救われる」為に「一度落とす」段階である事はほぼ間違いないと分かると思うんですが…そうでもない方が割とおられるようです。

 読解力の問題というか…全体に堪え性が無くなって来てるんでしょうか。物語を重ねる、という事が出来づらくなっているんですかね。