バーサス 2巻

 滅びに瀕した人類が救いを求めて他の世界を召喚。その結果地球はいくつもの世界が合体した状態になった…それぞれの人類の天敵たちも一緒に!

 勇者ハロゥ発案の天敵同士を戦い合わせる作戦…ただそれをどう実現するのか?まるで目処がたちません…。

 機律界の英雄、ガラスプ少将が合流し、作戦立案が出来る形になってきました。

「今の私は少将ではなく 小さな彼の言う通り ただのオッサンだ よいか?」

「はい…ガラスプ…さん…」

 …ケイラと関係ある? 親子?

「彼我の戦力差が大きい場合…間諜などで敵内部に混乱を起こし内輪揉めを狙う戦術は確かに有効ではある」

 天敵同士の遭遇をコントロール出来るなら。

「蟻の群れが象の進路を変えるのはむずかしい 強大な敵の動きをコントロールするためには こちらも多大な犠牲を覚悟する必要があるだろう」

 状況を分析し、必要な行動を割り出す速さは流石歴戦の指揮官です。

 まずは生き残る為に息を潜め、情報を集める事。【静観】するべきである、と結論づけます。

 …まずはお互いを知るため、としてパネパネと話し始める辺り、結構お茶目なオッサンなのかも知れないw

 ですが静観の時間はそれほど長くありませんでした。途中のザコ魔族を潰しながら進む巨人の一団。その進路には人類最後の城塞がありました…。

 巨人界の天敵、まさしく巨人族!

「奴らは単純だからね この天変地異で未知の土地が広がっているのを見て…自分たちの縄張りを広げるために四方八方に大群で散らばり始めたんだーー…!!」

 巨人界組のリーダー格、サモウーンの説明。ガラスプが受けます。

「例の作戦を今ここで実行するしかない “ハロゥ作戦”を!」

 近くに新虐界の天敵“新人類”の街がある。何とか巨人たちに道を迂回させ、新人類と出会わせれば…!

 新人類の見た目はほぼ旧人類と変わらない。巨人族から見ればほぼ見分けがつかない…。

「まず少数の部隊で侵攻中の巨人族に接触し 全面降伏の意思を伝える そして自分たちの街へ案内すると告げて この拠点ではなく…新人類の居住区へと巨人族を誘導するーー…!」

 だが巨人族にとって人類はオモチャのようなもの。気まぐれひとつでその場で皆殺しにされる可能性もある。交渉部隊には誰が…。

 名乗りを上げるハロゥを止めたのは城塞にたどり着いたもう一人の“勇者”、アリオでした。

「ハロゥ…今のお前の身体はボロボロだ …たが俺ならこの通り無傷だ お前はひっこんでろ 俺がやる」

 確かにアリオは無傷でした。 …本当に?天敵の上位種魔王と戦って本当に無傷?

 ケイラは気づいていました。

「アリオ あなた本当は…“魔王”と戦ってすらいないんじゃないのか?」

「敵前逃亡した人間は言動でわかる 今のあなたと似た兵士を何人も見てきたからな」

 その通りでした。アリオは魔王城手前で、討伐するはすの第19魔王ニュドーが人間をもてあそぶ様を見て恐怖にかられ…仲間も助けを求める人々も全て置き去りにして逃げ出したのでした。

「“勇者”なんかじゃなかったんだよ…俺は…!」

 あてもなく逃げ隠れしていた間に天変地異が起き、拠点へ逃げ込んで同期のハロゥに再会。こいつも魔王に負けて逃げて来たのかと思えば。

「生きていればまだ戦える 俺達が今やれることを探そう アリオ!」

 折れていない!片腕まで失い、ボロボロになっても“勇者”のままだったハロゥ。彼を死なせられなくて巨人誘導役を買って出てしまった…。

「ただの虚勢で命など懸けられるものか 心が折れても必死に這い上がろうとしているその姿を笑う者などいるものか 少なくとも私は知っている 今のあなたが“勇気ある者”であると」

 ケイラに認められた事で顔つきが変わったアリオ。「新人類に紛れられるイケメン選抜チーム」で巨人族と交渉に向かいます。

「ビーピーうるせぇな」

「なんか言うなら簡単にしろ 残りも潰すぞ」

 …まるで交渉になりません。何か話す度に一人潰されていく…。

「や…やめろ!話を聞いてくれっ!! 俺達はアンタらの敵じゃないんだ!」

「お前ら はなから敵前逃亡ちがう エサで…オモチャで…ゴミだ」

 巨人界人類ブラギンテが最後の手段…巨人の心臓から作り出した超強壮剤“レッド”を服用して立ちふさがります。

「よォデカブツども 次は俺と遊ぼうぜ」

 巨人界人類最後の対抗手段を使用して巨人たちに挑むブラギンテ。…その全力戦闘は巨人たちを楽しませる事に成功しました…。

 ボロ雑巾のようになって潰されるブラギンテ。

「お前らの巣 こういう頑丈で遊べるコビト まだいっぱい残ってるか?」

 …とにもかくにも自分たちに興味を持たせる事に成功したアリオ。なんとか巨人たちを新人類の居住区まで案内します。

 美しく均整のとれた体格の新人類。暴れ回る巨人たちに何人殺されても構わず向かっていき、多くの犠牲を出しつつ巨人の駆逐に成功します。あんまり個人の生命には拘っていない様子。

「野良犬が庭に迷い込んだところで大騒ぎする者はいない 事態への対処に適切な人員は足りている 我々の日常が揺らぐことはない 寸分たりともな」

 …なんか蟻に近い群体生物のような印象です新人類。総体として一つの個、みたいな。

 そんな新人類は旧人類が向けてくる絶望の目が大好きだそうで…紛れ込んでいたアリオたちを的確に見つけ出します。

「言っておくが お前の後にお前の親族 仲間 全てを殺すからな 約束する」

 感情がないかと思われた新人類の不気味な笑い顔…。

 怒るアリオ。今の自分、過去の自分に対する怒り…そして踏みにじられてきた人類の怒り!

「悪いなハロゥ ケイラさん みんな… ここから先は 俺の勝手な戦いだ…!」

 妖精合体“キラ” ゴールデンストーム!!!

 “勇者”の最終決戦奥義を放つアリオ!新人類の市街地を吹き飛ばしていく…!

 拠点城塞にアリオの補助妖精キラだけが戻って来る。結果を報告するキラ。

 作戦は成功。巨人族は新人類居住区にで壊滅。交渉役チームはアリオ以外全員死亡。アリオ自身は旧人類監禁エリアに幽閉されている…。

「絶対に助けに来るな」とメッセージまで付けられて、血が滲むほど拳を握るハロゥ…。

 …何かに気づくハロゥ。魔王ジャチの部下キヴァが拠点城塞を見つけ出していました。

「…ようやく見つけましたよ 勇者ハロゥ…!!」

 ハロゥも折れていない訳では無い、折れては立ち直っている状態なのですがアリオには揺らがぬ勇者に見えているんですね。

 勇者とは「痩せ我慢して虚勢を張るもの」であるのかもしれません。周りを奮い立たせるために。

 また天敵たちには本当に知恵と勇気でしか対応できないようです。巨人界の最大の対抗策を講じても巨人のオモチャになる程度。勇者の最終奥義であっても状況の打開には至らない…。根本的に人類では火力が足りないのですね。“離間の計”…いや“漁夫の利”作戦をうまく続けていくしかないのでしょうか。

 相当うまくやっても最後に強い天敵が一種残ってしまうと思うけど、どうするんだろう?

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