
先頃亡くなった聖悠紀先生の最後作品となります。ラスト部分は遺されていたネームを元にアシスタントの方が描かれたそうで…。
収録されているのは2編。「ロックインザボックス」は「ペアペアライサンダー」のハルキとミューズを主役に持ってきたw
銀河帝国の時間庫で一万年単位で跳ばされている、という激ヤバ物件「函」を探します。
「いよう わしじゃ」
クライアントたる老人…ロック?がいきなり現れます。まだ知らせてないのに。
「そうだ 函が見つかったという知らせは1時間後に来る」
多元宇宙航海機なる物を持ち出し、並行宇宙を飛び回って函を探し出す、と宣言するロック。時間庫が出現する1500年後を目指します。
「前方の船に告ぐ ただちに停船せよ こちらは…闇の王」
闇の王とかプリンス·オブ·ファントムとか有名どころのヴィランと一緒に別世界のロックも出て来て…なぜかハルキの事務所の大家さんまで混じって来てw
実は函は並行世界のロックの一人…超能力を一切持たないロックが作り出したもののでした。可能性を消して並行世界全てを潰し、自らがどの世界にも属さない「はざま」へ行く為に…。結局そのロックは「はざま」に発生した化け物に食われてしまい、老人のロックが函を修理することで並行世界を元通り、可能性溢れるものに戻すことに成功します。
この「はざま」については次のエピソードでも描かれます…が、とりあえすこのエピソードで印象に残る事と言えば「はざままで入り込んでくる大家さんって何者?」ですねw
その次のエピソード「憧憬」。
全力を傾けてロックを襲う宇宙海賊ゾーン。勝ち目がない事はわかっているのに…なぜ?
「あいつは不死身だろう? 不死身で不老不死 銀河最強の戦士 俺は奴の記憶の中で永遠に生きていける」
人に忘れ去られる事が本当の死なら、死なないロックの記憶に残れば自分は永遠にこの世に残る…。
実際、いいところまでロックを追い詰めるゾーンでしたが、ロックがいた星には共振樹というものが潜んでいました。超能力に共鳴して吸収する。ロックはそもそもこの共振樹の調査に来ていたのですが、戦闘のショックで目覚めた共振樹がゾーンを取り込み、ロックの巨大な超能力を吸収しようと…。
「力を…使うな こいつ…は力に…反応 俺は…気づく…遅すぎ…」
ゾーンが精一杯の警告。このような形で戦うのは彼の本意ではないのてしょう。
第二段階を発動して星ごと共振樹を締まったするロック。
全身ズタボロになりながらも回収されるロック。
再生の途中で見るビジョンのようなもの。
「はざま…のような場所だ 今まで何度か見て 何人か見送った」
「新しい世界への入口のような気がして 行けることに憧れたよ」
おそらくそれは死の向こう側。ロックには逆説的に越えられない壁。
「けどあんたならそのうち方法をみつけられるんじゃないか?」
「科学はまだ進歩を続けるだろうし 超能力も 今は無理でも」
その前向きな意見に救われるろ。
「でも そうだね 時間だけはあるから 今は無理だとしても いつかは見つけてみせる」
死ねないが故の、いつも残される側の苦しみ。定命の者の不死者への憧れと、残される者の寂しさ故の死にゆく者への憧れ。ふたつを描いてお話は終わります。
これが聖先生の亡くなる直前のエピソードというのが示唆に富んでいるような気もします。 無限に生き続ける事は果たして幸せな事なのか? ときどき語られるこの問題を、病に侵されつつあった聖先生が語った。
己の生命の果てが見える状態で尚、不死の悲しみを描き出せたのは先生の透徹した意志を感じます。 死を目前にして冷静に物語を創るその心性は僧侶の如くあったのでしょうか。
聖先生がロックをどこまで連れて行ったのか、今少し先を見たかった…。
いつも思う事ですが、「早すぎる死であった」と…。
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