シャングリラ·フロンティア 〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 16巻

「ただぶん殴るよりもこっちの方が良く馴染むぜ!!」

 ローター二刀流を無理矢理ぶん回すカースドプリズン=サンラク。

「その程度じゃ足りないね!『全力』なんて当たり前!! もっと『本気』で来てよ!! カースドプリズン!!」

 難なく捌くミーティアス=シルヴィ。

 互いにゲージが溜まりいつでも超必殺技が出せる態勢! 一瞬の怯みからミーティアスが先に超必殺技に入る…が、装甲が剥がれ切っていなかったのかカースドプリズンの硬直がわずかに早めに解ける! 同じく超必殺技の態勢に入ろうとするカースドプリズン。

「ママァ どこぉ?」

 …逃げ遅れた子供NPCがカースドプリズンの後ろに。

「…何を考えてる? なんのメリットもない ヴィランだぜ俺は…!! そもそもこいつはただのNPCだ」

 そう、NPC。エムルと同じ。

「ったく…こんなの大馬鹿野郎だぜ お前のせいだそ…ペンシルゴン!」

「ここで見捨てたら…寝覚めが悪いだろうが!!」

 ここにいるのはカースドプリズンではない、サンラク! そしてここでNPCを放り出すのはサンラクじゃない!

 ギリギリで【ミーティア・ストライク】の着弾ポイントをずらし、直撃を避ける…!

「邪魔だ 消えなガキンチョ」

 悪ぶって子供を逃がすサンラク。ヴィランのくせにNPCを助けるのか、と揶揄してくるシルヴィ。

「んなことよりヒーロー 超必殺技を使ったな! 次は俺様のターンだ」

 マスクを剥がすカースドプリズン。これこそが彼の超必殺技【脱獄】。呪われた鎧を破り、一時的に本来の力を取り戻す! その制限時間は30秒。しかしその間だけはミーティアスの完全上位互換の能力値となる…その姿の名は…脱獄囚”プリズンブレイカー“!!

「フハハッ!!カフェインが燃えながら血管を流れてるぜ!!」

「あははっ! その姿にここまでワクワクするのは初めてだよ!」

 もうギャラリーにも把握できないスピードの攻防!圧倒的な手数(イアイ・フィスト流とか持ち込んでw)でミーティアスの体力を削る…が、シルヴィは30秒ギリギリでカウンターを合わせ…。

 結果はダブルノックアウト…ドロー!

 勝負はさらにもう一戦「延長戦」を行う事に。 …時間稼ぎとしては大成功。 まぁここでカッツォが到着したのでもう意味はないのですがw

 「延長戦」、ゲージが溜まった状態からのスタートでいきなり【脱獄】をかますサンラク! しかし…シルヴィの攻撃を思ったように避けられない!?

「俺の反応速度が鈍って来ている…!?」

 シルヴィ相手に3ラウンド…しかも高速戦闘につき合っては精神の疲労は凄まじいものがある。

「サンラクにはもう…シルヴィとまともに闘えるほどの集中力は殆ど残ってない」

 シルヴィア・ゴールドバーグの最大の武器とは

「どれだけの激戦をどれだけの時間続けても一切パフォーマンスが劣化しない化け物じむた脳の継戦力(タフネス)」

 リズムの押し付け合いに負け、押し込まれるサンラク。

「改めて出会えてよかった ありがとうカースドプリズン 私の超必殺技で終わりにしてあげる!」

 【脱獄】のリミットが過ぎる。呪われた鎧が戻る…。

「今の状態だからこそ…勝る点が一つだけある! それは…リーチの長さ!!!」

 「フハハハ!!捕まえちまえば速度もテクニックも完全無効化ァ!!」

 ミーティアスの脚を掴み、一緒に地上に墜ちるカースドプリズン!

「シャンフロエンジンの落下エネルギー!! 一緒に体験しようぜ!!」

 これまた格ゲーじゃないw 加速度つくくらい高空はあんまりフィールドにならないw

 大ダメージのミーティアス。だが生き残っている!

「同じ轍は踏まない それがヒーロー」

【ミーティア・ストライク】発動!!

「そういや…言い残すことあったわ どうでもいいなんて言ったけどよ… やっぱ寿司より焼き肉だろーーー!!」

「楽しかったぜ!ミーティアス!!」

「こちらこそだよ!カースドプリズン!!」

 WINNER ミーティアス!!

 そして待ちかねた対決。シルヴィ対カッツォ!

 ミーティアスを選択するシルヴィに対し、アムドラヴァを選ぶかと思われたカッツォのキャラは…シルバージャンパー。

 ジャンプ力だけは高いが他は並以下。特殊能力もない…。

 カッツォの戦略はこのゲームのもう一つの勝利条件「ケイオースキューブの確保」を達成することでした。そのための「捜索」に向いたシルバージャンパー!

 そしてその事にシルヴィが気づかなかったのも…。

「私達のもう一つの仕事は貴女の頭から『ケイオースキューブ』を消すこと」

「闘いの中で『その』選択を可能な限り削ることである種の思考パターンご出来上がる 俺達からのささやかなプレゼントだ」

 …なんか俄には信じられないですが、そのくらいの仕込みはする奴らだよなぁ…。

「ウチのねちっこい方の外道曰く『対人戦で隙を作るなら7割の嘘に1割の真実を混ぜろ』なんだと」

 一転して直接攻撃に出るカッツォ。

「残り2割は『非常に曖昧なはぐらかし』だったかな」

 ぶちかましてシルヴィを飛ばした先にはNPCヴィラン…!

「そしてウチの大雑把な方の外道曰く『対人戦で有利に立ち回るなら 想定外を味方につけろ』」

 ヴィランに攻撃を当てさせる! …狙いはケイオースキューブではなく直接撃破!?

 ヴィランの攻撃でミーティアスの体力が減った状態からの打ち合い!攻撃にカウンターを合わせる事で体力を同時に減らし…最初の差分で最終的に勝つ!

 なんでもありな上にとんでもなく泥臭い勝ち方! やられた方は無茶苦茶腹立つヤツw

 おかげで第2ラウンドはキレたシルヴィにカッツォ瞬殺w

 しかし引き換えにシルバージャンパーのゲージはMAX。第3ラウンドでケイオースキューブを確保する準備は整った。

 キューブの位置は…フィールド中央部。ケイオースタワー最上階!!

 盤外戦術が多いペンシルゴンとカッツォ。 …相手が絶対王者なのでまともに闘うためには仕方ない面もあるんですが…譲れない矜持が出てしまうところが若さですね。効率言いながら効率に徹しきれていない。

 その辺が紛うかたなきマンチどもなのに憎みきれない理由なんでしょうかw

 てか単行本にしてまる3冊ぶんシャンフロやってないんですがw 次の巻では戻る…のかな? 今でも充分面白いのが困ったところですが。

コメントを残す