瀧夜叉姫 陰陽師絵草子 5巻

 身は鉄。左の眼に瞳がふたつ。六つの同じ姿の影を常に引き連れる…。ほぼバケモンですが、これが乱を起こした当時の平将門の姿とされています。朝廷の命としてこれを討ちに向かったのが莫逆の友、藤原秀郷…俵藤太。

「おう おう おう おう 来たか太郎 来たか太郎 来たかよ太郎」

 異形が7騎、同じ形で槍を振るう悪夢のような光景。戦自体は朝廷側が押しているのですが将門が出てくるとその威に押されてしまう…。

 攻めきれないところに藤太の手元に飛んでくる一本の鏑矢。

「この矢は…あのときの…」

『必ずやこの矢とともに この浄蔵めの分身が秀郷様を助けに馳せ参じましょう』

 …はるか京の雲居寺から届いた浄蔵和尚の霊力の籠もった矢! …この頃の逸話って時間と距離を無視しがちw

 将門の寵姫桔梗の一言。

「鉄のお体にまただひとつ 生身の場所があるらしいのでございます」

 人のままの部位…こめかみを狙って鏑矢を放つ! もんどり打って馬から落ちる将門。

「…せめて人として死ね…! 桔梗殿すらそれを望んだ…」

「…桔梗の言葉を持ち出すな…! うぬが斬り捨てておきながら…」

 居城から逃げ出すときに藤太が桔梗を斬っていった…? 興世王が見ている…? 謀ったな興世王…。

「許さぬ…桔梗の仇ぞ…」

 完全にすれ違ってしまった藤太と将門。一対一の斬り合いでついに将門の首を斬り飛ばす!

「楽にしてやるぞ!! 小次郎!!」

 しかし斬れた首がなお藤太に喰らいつく!身体も勝手に動く! 最終的に五体バラバラにし…。

「これらを坂東八州のそれぞれ離れた地に埋めよ…!! 首は塩漬けにして京まで持ってゆくーー」

「おう それは助かる わざわざ俺の首を京まで運んでくれるとはなあ」

 …首だけで普通に受け答えしてるし…。

 これが俵藤太が晴明と博雅に語って聞かせた坂東の乱の顛末でした。この首が晒された後もしゃべり続け、十日目に忽然と消え失せた、と…。

 これが東に向かって飛び、落ちたのが今東京にある首塚の位置…ということでしょうか。

 さらにそこに一緒に晒されていた興世王の首が偽首ではないか…という疑いが…。

 将門にいろいろ仕掛けた張本人が生きている…。その興世王、どことも知れぬ深山で呪法の真っ最中。

 右腕と頭の欠けた遺体に何やら呪を施している…これ将門の遺体?

「駄目じゃ…!! 骨も肉も五臓六腑も繋がった… 目に見える部分はほぼ復元した… だが目に見えぬ経絡が繋がらぬ… 五体を気が巡らぬ!! このままでは首を取り戻したとて蘇生はかなうまい!!」

「師父…私にいささか心当たりがございます」

 滝姫…将門の娘が朱雀門にて笛を吹く。

「その笛 げに逸物なるかな」

 朱雀門の鬼天。かつて某に双六で負け、屍体から良い所のみ集めて作った美女を譲ったという…。

 笛の音で鬼の気を引き、蘇生の秘法を聞こうというのか。

「その龍笛…譲れとは言わぬ しばし貸してくれぬか」

 秘法を教える交換条件…なんか緩くない?

 なんでもこんな月夜にはある男が笛を吹きにやってくる…鬼はいつもそれを聞いていたのですが…。

「だがもう我慢ならぬ! あの男と吹き合わせをしたい!したいのじゃ! とはいえなまなかの笛では…あの男の音に釣り合わぬ! そこでそれよ!その笛ならば…! なぁ頼む!その笛貸してくりゃれ!」

 ひぃよおぉぉーー…

 そんな言い合いをしている内に響き渡る澄んだ笛の音…。

 タップからムーンウォークまで披露しながら現れたのは…博雅!あんた何してんだw

 重なる笛の音。

「朱雀門のほうやな…どなたはんやろ…おお…」

 鬼天、姫の身体を操って笛を吹き始めましたw

『ちょ…ちょっと待て!朱雀門のものよ!鬼天よ!」

「この曲 蘇合香ではないか!?全曲一具で一辰刻半はかかるぞ!」

 約3時間w

「何処の姫か存じまへんが笛の吹き合わせでこんな経験がてきるとは…ほんま…ほんまおおきに…」

 吹き終わっで感謝を伝える博雅。

 勢いで互いの笛を交換し…再度吹き始める。

「こ こ この曲盤渉参軍ではないか!!二辰刻半近くかかるぞ!!」

 約5時間w

 夜が明けようとする頃、ようやく別れようとする二人。

「いいやーーなにも聞きまへん 今夜は…たぶんなにも聞かずにお別れするのがよろしおす」

 博雅の正体を察して刺そうとする姫を抑える。

 更に笛を返そうとする博雅を拒む姫。

「私はこの笛が気に入ったゆえ しばらく借り受ける そちらの笛はかたとして預け置く」

「待ってや!! ひとつだけ…! その笛の銘は夜叉姫や!! この笛の銘はなんと…!?」

「葉二つ」

 …夜を徹しての吹き合わせからの仇敵との笛の交換とか、なんとも雅な展開。 朱雀門の鬼天とか大ネタが多分これっきり出て来ないのも非常に”らしい“w

 これで博雅と姫君に縁ができつつ将門復活に筋道がつき、晴明としては最後のピースを埋めるために雲居寺の浄蔵法師に直接面会に行く事になります。

 京が潰れてなくなっても構わない、と思っている晴明が底抜けの善人の博雅に引っ張られて動く…。強いのは間違いなく晴明なんですが行動の主体は博雅なんですね。表に出なくとも世界を動かす原動力になるのはこういう人たちなんでしょう。

 中央集権政権の矛盾を正そうとした平将門。その遺志は歪められ、利用されようとしています。死んだ者が再度歴史に現れるカオスは出してはならないに違いありません。姫は?将門に付き従うまつろわぬ者たちは?

 最終的に関東まで足を伸ばす事になるのかな?

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