暗号学園のいろは 6巻

 暗号学園メタバース地下一階。爆弾フロア最後の大爆発を“爆弾型シェルター”に逃げ込むことで避けたいろはと小芝井。

 不自然に爆発物処理に長けているいろはに疑問を持つ小芝井。それはいろはの思い出したくない過去に関わっていました。

 爆発物取扱免許。海外で野盗に監禁されていた時、修得させられた…いつでも死んでいい「トラップ避け」として。

「過酷でもなかったよ 爆発物の解体くらい チア部の男子が目の前で嬲り殺しにされるのを応援させられたことに比べたら」

 …絶望と言うのも生温い状況…。

「応援(たすけ)に来たぜ カワイコちゃん」

 そんないろはを助けに来たのが当時のチア部部長、夜鳴鶯アンヴィシャス。

「頼むよ! あたしをリフトできる奴 もうオメーしかいねーんだ!」

 えーと、テロリストがうようよする中に単独で殴り込んでいろはを助け出した…?中学生の女の子が? あぁ、まぁ西尾作品なら割といるかな、こういう娘…。

 それがいろはが立ち直るきっかけとなり、彼が今またその行方を探している人物でもありました。 「現在のいろは坂いろは」を構成する大事なパーツですね。

 話しながら攻略していくいろはたちに縁沙が合流。

 一方、夕方多夕と縊梨慕はカジノフロアでしなくてもいい勝負を…。因縁ゆえ仕方ないのですが、学園追放をかけてのしりとり対決「エンドレス・クラップス」が始まります。

「…ルールが難しいな このルールでオマエを傷つけずに勝つことが難しい」

 破滅的に運のない多夕が終始押されますが、最終的に慕を逆転…せずに同点引き分け。…狙ってた?

 仲裁に入った夜鳴鶯アンヴァリッドと3人で再度攻略に戻ります。

「不正プレイヤーを発見しました これより駆除します」

 珍しく管理AI溺愛ちゃんが仕事している相手は…まぁ予想通り匿名希望w 眼鏡兵器の能力で個人情報を消し、別人になりきることでダンジョンをすり抜けて一直線に最下層を目指す…!なんでもありも大概にしろw

 デバッグされそうな匿名希望を助けに入ったのが要塞村鹵獲! 要塞村の説得でふさわしい暗号能力アリと認められ、そのまま通常攻略に入ります。

 しかし匿名は普通にスタートしても100階スタートくらいは可能だった模様。それをわざわざ個人情報を誤魔化して一階からスタートする理由は…東洲斎先生によれば「ズルをしたくなる性分」なんだとか…。 厄介だなオイw

 いろはチームは雀荘フロアで雁音嚇音、華衣謬と軍法麻雀勝負。ひらがな、カタカナ、漢字の三種の牌で役を作る変則麻雀。3文字の言葉ならいくらでも面子が作れるので難易度は大分高い!

 トップのみ勝ち抜けて下へ行けるルールなのですが、これを利用して次々プレイヤーをメタバースから追い出していたのはなんと雁音。

「『誰が勝ってもみんなの勝ち』 なるほど素敵な思想だけれど私の哲学は少し違う 戦争だろうと迷宮だろうと 生きておうちに帰れたら勝ちよ」

 能力的に劣る者をダメージが少ないうちにメタバースから追い出す為に雀荘フロアで張ってた…? 超保護者だな。

 手の動きからあらゆる情報を読み取る雁音に対し、いろはは表情を読ませて作戦を「通す」ことで裏をかく!

 オーラス三倍満直撃で雁音をラスに落とす!

「伝達ミスなく作戦を瞬時に送信できる生存能力…暗号兵としてそっちの方が強みでは?」

 雁音が消えた後で全員で先に行ける裏技を閃く予定、と事もなげに言い切るいろは。

「できればあなたとも一緒に閃きたかった」

 一方、更に深層、法廷フロアでは

「それではこれより戦争犯罪人東洲斎享楽の軍事裁判を開廷するんだよー!」

 己の罪と向き合わされるこのフロア、享楽の罪とは9歳の時に開発した「子供でも撃てる拳銃」「銃眼」のことでした。メンテナンスフリー、弾丸はそのへんの砂利でOK。 この極限まで簡易な銃で一国が崩壊した…。

 しかし!その国は子供を奴隷として売り払うことで維持されている国でした。「銃眼」は「奴隷」たちに渡され、革命の原動力となったのです。

 「死んだ数」と人権を与えられ、奴隷から人に「生まれた数」。差し引きプラスであるとして享楽は無罪を勝ち取ります!

 しかし享楽自身は子供でも扱える武器をばら撒いた責任は感じていて。

「世界中に拡散したすべての『銃眼』を処分する廃丁令 を暗号皇帝への即位と同時に発令するわ」

 …享楽にもまた譲れないものがありました。こればかりは退くわけにいかない。それがいろはであっても。

 取調室フロアでの「囚人のジレンマ」対決、絡繰屋敷フロアの「箱入り娘」…スライドパズル、大統領専用機フロア(!)で何故か硬貨を使った「翡翠リヴァーシー」。

 協力したり対立したり、徐々に人数を減らしながら生徒たちは下へ下へ降りて行きます。

 見事なくらい各員に進まねばならない理由があって、それだけに道を譲る決断が短いながらも重さを感じさせます。

 いくらでも話が拡げられそうなキャラたちを惜しげもなく落としていくスタイルは流石西尾先生。普通のマンガの5〜6本分くらいのアイデアが詰まっているんじゃないでしょうか?

 「化物語」なんかもそうだったんですが、それぞれで主役が張れそうなポテンシャルを持ったキャラを一つ所に突っ込む事で大きな変化を齎す…アイデアの物量作戦ですねw

 この怒涛のアイデア洪水も次巻で完結です。終了までに全部のネタを回収できるのかw 決着を見守りましょう。

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