よふかしのうた 20巻

「ナズナに最近 血吸われてないよな」

 ハルカ直球で聞いてきます。

「その状態は今後も続くのか? つまり…お前はナズナの眷属にはならないのか? それともなれないのか?」

 チャランポランな癖にわりと本質を捉えていますね。

 ナズナは血を飲まなくなって明らかに弱って来ている。

「お前がいるからか? お前がナズナを殺すのか?」

 いきなりコウをぶん投げるハルカ!

 ピアス穴を開けて咄嗟に半吸血鬼化、対抗するコウ。

「ムカついてんだよ俺はずっと せっかく好きになれたのに血ィ吸ってもらえないことにもォ!! 知ったような口で説明不足のお前にもォ!!」

 あぁ、コウくんもいろいろたまってたんだなぁ…。

 本音を聞けてちょっと治まったのか大人しくなるハルカ。結局コウの顎揺らして意識刈って勝ちは確保するんですがw

「お前ナズナのこと好きって言ったろ じゃあもう俺からはなんも言えねぇよ」

 ただそれでも吸血鬼にとって血を吸えないのはかなりきつい。自分を好きな人間が近くにいてそいつの血を吸えないのはなおさら。

「…考えとけよ 別れのアイサツくらい」

「わかってんのさ〜… そんなことは〜…」

 

『だめだ もうコウ君とはいられない』

 きっちりあの話を聞いてたコウ。わかっていた…。

 普通に昼、学校に通う夢を見ているナズナ。あぁ、そうだよな、経験ないんだ…。

「ほら 約束したじゃん 少し早いけど行かない?海 最後にさ」

「ぜ、ぜったい いぐよぉ〜…」

 夜の海。はしゃぐ二人。いろんな事を話す。これが最後だから。

「コウ君の血は吸えない お互いどうなるかわからないから」

 しばらく会わないだけでコウへの吸血衝動が消えるかはわからない。

「だから コウ君への気持ちがなくなるまで会わない あたしはこらからきっと遠いところで人の血を時々吸って行きていく 嫌だけとまた会うためにそうする 友達として いつかまた会おう」

 朝 始発の電車で別れようとする二人。…結局二人共乗ってしまう。

「はは…下手だね…あたしら…」

 不意打ちのキス。

「心残りナシ! コウ君!! 短い会いたちのだったけど楽しかった! 君に会えて良かった! バイバイ!」

 走り出した電車から飛び出すナズナ。

「コウ君!! 大好きやで〜〜〜!! わはははは」

 それきり、ナズナは居なくなった。

 …学校に通い始めたコウ。普通に勉強し、さっちゃんともいい感じになったりw、割と早めに帰って来たwwアンコの助手をやってみたり…。

 世界をフラフラしているナズナ。

「恋とは呪い」

「誰にかけられるの? さあ…神じゃない事だけは確かね」

 北の国の一軒家に転がり込んでいるナズナ。途中、人間に恋をした吸血鬼に出会ったり。彼女は恋人に会わないよう山奥に隠れるように住んでいた…50年間。

「あたしは呪いを受け入れることにした 会えないのはさみしいけど仕方ない だってこの恋心は簡単には消えてくれないのだから」

「あーーいたいた!良かった〜〜!」

 コウくん何探し当ててんのw

 1年経って会いに来なかったから探した、と。 アンコの助手で高校生探偵みたいな事をやっている、と。

 腕っぷしも強くなって、吸血衝動に負けて襲いそうになったナズナをきっちり制圧!半吸血鬼化もコントロール出来るようになった様子…。完全無欠すぎない?最終回だからってw

「もしナズナちゃんが会いたくないって逃げるなら 仕方ないしまた探すよ」

 相手が何しても全て受け入れます宣言w 究極の愛情表現ですね。

「コウ君」

「ん?」

「死ぬまで追いかけっこしようね」

「いやっ! うーーーん…!」

 ひとりの行き場のない少年が夜に居場所を見つけ、昼に帰って行きました。 実に上質なジュヴナイルを見せていただきました。

 「吸血鬼」という存在が必ずしも悲劇の元ではない…ぶっちゃけて言ってしまうと「結構楽しくやっている」のは良かったですね。原義的にはどうしても“神に反する”要素が入ってしまうので”呪われている“側面がピックアップされてしまうんでしょうね。

 吸血衝動は…人間にだって飢えによって正気を失うことはあるだろうし、太陽に弱いのもアレルギーの酷いのと言えるかも。

 人間と好きあったら危険なのは…結婚に障害があるのはよくある話ですね…ちょっとこじつけが過ぎるか。

 いい奴がいて、変な奴がいて、危険な奴もいておっかなびっくりバランスをとりながら生きている…そんなただの隣人な「吸血鬼」が普通に暮らす世界はちょっと面白いかも知れません。

 コトヤマ先生、お疲れ様でした!

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