終末のワルキューレ 21巻

「おいで…『アルテミス』」

 糸を巻いた手甲を解き、影から何かを呼び出すアポロン。

 その女神像こそアポロンの神器“アルテミスの月影”!

 ”アポロンとアルテミスの双子神ーーー 金の弓を遣いて巨人族を斃せし也“

 アルテミスが糸を使って練り上げたのは…巨大な弓!

「受けてみよ…このポイボス・アポロン 至高の技を」

 弓につがえたのは光。

「至高ォ?面白ぇ 撃ってこいよ神野郎」

 構えたレオニダス。しかし次の瞬間、レオニダスの体に穴が空き、一直線上の闘技場の壁にも穴…反応できない! まさしく光の矢。

 血を吐きつつ改めて盾を構えるレオニダス。

「まったく頑丈だな キミは」

 輝ける流星の黄金矢(アポロン・エピクリオス)

 アポロン、光の矢の連射! 盾で弾くレオニダスですが全ては無理…己の血溜まりの中に立つ…。

「ここまでよく耐えたと讃えるよ… だかるこそーー…もう苦しませない 終わりにしようーー」

「終われるかァーー!!」

 ほぼ勘で光の矢を正確にアポロンに弾き返すレオニダス!右手を負傷したアポロンはもう弓を引けない…。

「ったく…讃えるだの苦しませないだの下らねぇこと言い出しやがって…そんな神サマのお言葉を俺様がありがたく頂戴すると思ったか? てめぇの相手してんのは誰だ!? この俺様だぞ!!」

「全くひねくれ者め それでこそキミだ!! 大嫌いだ!!」

 …なんかすげぇ通じ合ってます。

「少しは…美しくなったがね…」

「てめぇこそちったぁ漢前になったゼ…」

 レオニダスが構えた盾は光り輝く姿から古ぼけた円盾に。

 真実の盾(マリーシア・スパルタ)

「スパルタの代名詞ーー“重装歩兵密集方陣” その本質は防御に非ずーー 止まることのない前進 槍の如く突き進みーー敵陣を圧し潰すことにあるーー」

 アポロンは弓を解き、アルテミスの両手の間に太い綱として張り…。

「ポイボス・アポロン 太陽の如く美しく輝きし刻ーーアルテミスの弓に自らを番えーー”銀の矢“と成りてアルゴスの防御わ撃ち崩せし也」

 自身を矢として突っ込まんとするアポロン対スパルタの意地を構えるレオニダス!

 同時に踏み出す二人。中央でぶつかり合う!

 ファランクス・Λ!

 魂を射抜く銀矢(アリュギュロトクソス)!

 結果…。

「全く…相変わらず…腹立つ面ァしてやがる…」

 砕けたのはレオニダス!

「お前ら ちゃんと見てたか…」

 試合を見ていたスパルタの軍。

「はい…レオニダス様…あなたは…出会ってからずっと…ずっと…最高にかっこいいスパルタでした」

「そうか…安心したぜ スパルタは最強だ」

 とてつもなく強い背中を見せながら消えていくレオニダス。それを支えるアポロン。

「オーライ…ビューティーズ… キミたちは…最高に美しかった」

 ラグナロク第9回戦 勝者アポロン!!

 外見はともかく、中身は似た者同士な二人。最後には不思議な友情にも似た感情で通じ合った二人。その試合は凄惨ながらもどこか爽やかなものが残る結果となりました。

 その試合を見て呟く男がひとり。

「…うらやましいなぁ ぼくも最期は…思う存分闘って…散りたかった…」

 沖田総司。新選組一の剣士と言われながら労咳に侵され、晩年は隊を離れて静養するしかなかったとされています。

 4勝5敗。あと2敗で人類滅亡が決定する…次の闘士の人選に悩むブリュンヒルデに沖田は自ら名乗りを上げます。

「ボクが往きます ボクは誰にも負けませんから」

 神側。エジプトのアヌビス神が次に出る、と騒ぐ中

「少し待てや…次は己だけェ」

 日本の素戔嗚命です。

「あれ スサノヲも次出たかった? ざんねーんちょい遅かったね おいらの番ってさっき決まったとこなんだ!!」

「そうか…じゃけど…次は己だけェ」

 まっったく話を聞きませんw アヌビスが根負けして順番を譲ることに。

「次の相手が最強の“人斬り” ”沖田総司“って聞いたんでな?」

 次の試合…ラグナロク第10回戦は…

 剣術の始祖 天界最強の“神斬り”素戔嗚命! 対

 剣が活きた最後の世代 人類史上最強の”人斬り“沖田総司!

 幕末の京都を再現した闘技場で、最初と最後の剣士が激突する…!

 ラグナロクも終盤。神側一歩リードですがシーソーゲームでここまで進んでいます。 …ただ、このまま注文通りに進む訳は絶対なくw…こういう武闘会系はひっくり返されてナンボですよね〜。

 そもそもブリュンヒルデの目的が、人類存続よりは恋人ジークフリートの救出の方がメイン。しかしそのジークフリートの幽閉を決定したオーディンが何か別の目的を隠しているようで…。

「例えば…『宇宙の始源(アルケー)』ーー『原初神の復活』とか?」

 ベルゼブブの指摘。「アルケー」というと最初にあったもの、宇宙の始まり…という意味であちこちで使われています。

 …が、このときのオーディンの狂気を孕んだ笑顔…絶対真っ当なものじゃないw

 他の作品ですが、北欧系の神様はラグナロクを起こして世界をリセットするのが本能みたいなものになっている厄介な連中…というネタがありまして。 で、宇宙を始めるには今ある宇宙を一度破壊しなければならない…要するにループ思想みたいなものがあることもちょくちょくあり。

 この辺を考え合わせると「ラグナロクを起こしたくて仕方がないオーディンが、宇宙を一度リセットする力を持つ原初神を蘇らせようと画策している。その鍵がジークフリート。ブリュンヒルデも他の神々も人類もオーディンに利用されている」という予想が成り立ちますが…どうなんでしょう?

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