
「存外悪くねぇぞ 鎬を削る仲間がいるっつーのはょ」
ちょう朝から朝がおへの助言。勉強会には仲間を誘ってやれ、と。その言葉に従い、朝がおはあかねとからしを誘いらくご喫茶を満員札止めするまでになりました。…まぁキャパ50人なんですがw
朝がおが得たものは多く、それはあかねにも波及します。
「師匠から開口一番の人選を任されててな お前に頼みたい」
朝がおの二ツ目披露興行。 トリは朝がお、華を添えるのは師匠のちょう朝と…阿良川泰全。阿良川一門の大看板、阿良川四天王の一人。つまりあかねの二ツ目昇進の推薦票を出せる一人…というか事情を考慮すると推薦を貰えそうな唯一の人物!その泰全が参加する会の開口一番をあかねに任せたい、と。
「兄さんの大一番!! バッチリ盛り上げてみせます!!」
よくよく人の縁に恵まれるあかね。真っ直ぐさ故に皆助けたくなるんでしょうか。そしてそれはちょう朝も同じで…。
泰全を呼び出したかと思えば
「二ツ目昇進の推薦 コイツにやっちゃくれねえか? 四天王なら出せんだろ モチロン開口一番の出来次第でな」
言いづらい事をさらっと…。「気に入ったヤツにゃあデカく張る 博徒の性よ」とか吹いてますが…根本的に面倒見いいんですね、ちょう朝兄さんw
「…阿良川の二ツ目は 一生師匠の御目に触れる身分 分かるか?その意味が 御目汚しは認めんぞ」
見た目通りの重厚な物言いの泰全。
「…その意味は誰よりも分かってるつもりです 二ツ目への大一番 全力で挑ませて頂きます」
しかし泰全にも無視出来ないしがらみがありました。泰全の師匠、同じく四天王の阿良川全生。
「何があっても志ぐまの弟子に推薦を出すな お灸を据えてやらないとねーーあ!! コレ師匠命令 絶対だから」
志ぐまに一方的に敵意を持っている全生。下衆な横槍ですね。
泰全は例の志ん太破門事件の直前に真打昇進を果たしており、昇進はしたけど華もなく奮わない自分のせいで一生が幻滅し、受験者全員破門の暴挙に出たのではないか、と気にしていて…(全生もきっちりその辺をついてくるのが嫌らしい)。 彼の方にも引け目があるんですね。
事情をどこまで知っているのか、あかねはちょう朝に動物噺『狸賽』を教わります。披露目での披露を目指して。
「嬢ちゃん お前は俺に似てる 嬢ちゃんなら俺の演り方がきっとハマる」
「…もしかして 狸賽が私の“十八番”になると…」
”十八番(おはこ)“…その落語家の代名詞になる演目。「俗っぽく言えば“必殺技”みてぇなもん」。
得意な動物系の噺で”陽“の芸。あかねが落語家としてこれからやっていく武器になり得る!
「江戸弁なしでやれ」などの試練を受けつつも披露目に向けて『狸賽』をおろし…披露目当日。
「泰の字が遅れるぅ!?」
泰全は少し遅れて楽屋に入る、出番には間に合うから…つまり開口一番は見ない?
「頼まれた仕事はキッチリやるが嬢ちゃんとの勝負は降りると!!」
芸への誠意と師への義理で板挟みになり、公園で立ち尽くす泰全。
「随分と苦しそうじゃないか 悩み事があると緑のある場所に行く その癖変わってないな」
泰全の前に現れたのは…志ん太!
「阿良川志ん太…か その名前久しぶりに呼ばれたな でも…もう死んだよ 阿良川志ん太は 俺は桜咲徹 ただのコンクリート屋だ」
ちょう朝、泰全、そして志ん太は前座時代からつるんでいた仲間でした。その仲間が自分のせいで破門になったとなれば…。
「道は違ってもちゃんと前に進めてる かわいそうとか思ってたんなら御門違いだよ」
泰全を慰めつつ披露目会場へ誘う。
「お誂え向きだろ 悩んでる時はパーッと笑うのが一番だ」
会場。あかね、朝がお、ちょう朝が待ち構える前に現れる泰全。
「オウオウオウオウっ!! 泰の字!!テメェどこほっつき歩いてやがっ 志の字…」
「まぁ…お前の役目だわな」
三人の関係性が窺われる一言です。怒るちょう朝もどこか嬉しそうで。
そのまま客席に戻ろうとする志ん太。あかねの方をちょっと向いて
「着流し 随分 様になったな」
あかねも気合が入ります。
…事態は何も解決していないんですが、全てが良い方へ向かっているような…。 志ん太がちょっと出ただけでこれです。影響力が大きい。志ん太がこの物語のキーキャラクターですね。
「さァて!! 湿っぽいのはここまでだ!! なんにせよ場は整った!! こっからは楽しい楽しい落語の時間よォ!!」
あかね勝負の一席。『狸賽』が始まります。
罠にかかっていた子狸を助けた男。恩返しがしたい、という子狸にサイコロに化けさせて博打で儲けようとしますが…という噺。
「…ん? 転がされたら目ぇ回って吐いちまう? 何言ってやがんでぇ!! お前賽子だぞ!! 転がさねぇでどうすんだ!!」
それはこれまでのあかねの「端正な落語」とは違った自由奔放な落語。マジメなだけではないオリジナル、「阿良川あかね」の高座。 ちょう朝がやらせた「江戸弁禁止」の理由がこれでした。 基礎は既に充分。ならばここからは自分を出していく。
「もう基礎だけじゃなくていい テメェがやりたいように遊べばいいんだ そこで垣間見える“仁”に人は惹かれ その遊びが”芸“を際立たせる」
更に一段成長を見せるあかね。現落語界のトップの動向に関わる話も出てきて話の規模がデカくなって来ました。
「“志ぐま”を継ぎたいんだ」と呟いていた志ん太。
一生、志ぐま二人の師匠、先代志ぐまが残した未完の演目”志ぐまの芸“。
己の“仁”に合った芸こそが極められるものであるのなら、その”志ぐまの芸“に到達できるのはおそらく志ん太のみ。一生と志ぐまもその芸を目指したが叶わず、一生は”志ぐまの芸”を否定する方に行ってしまった。 そして到達しそうな志ん太をも否定し、破門してしまった…という事でしょうか。
…ってことは物語上、志ん太の高座復帰がある?
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