宙に参る 4巻

 ソラと宙二郎を乗せた宇宙船「ニイノ」はコロニー「ジヒ」を発ち、次の寄港地「シアッカ」へ。

「というか港毎にお祖母ちゃんにお土産買う感じ?」

「お義母さん用じゃないぞ 葬式の名簿でシアッカに『伊能』って居たろ あれ私の育ての親でな」

 そういう大事な事は先に話しておけw 宙二郎くんでなくても怒るよそれは。

 つまり世話になった人に挨拶に行く訳で。 そこから始まるソラの過去話。

 ソラはとある小さなコロニーで産まれました。父母はおらず、親代わりのリンジン「お母さん」が居るのみ。人工子宮ぽいものから出て来てますので、遺伝子から調整されている…所謂デザイナーベイビーではないでしょうか。 電波障害で外部との連絡が取れず、「お母さん」とソラのみでの生活が続きます。 …えーっと、バレたらヤバい実験とかしてて露見しそうになったからコロニーごと破棄された…?

 ともかく、「お母さん」とソラの生活は続いていきます。普通の親子とまるで変わらない、穏やかな日々。

「私が与えられる物なは限りがある」

 ヒトはヒトと暮らすべき。

「きっと きっと この子にもいるはすだ 私以外の誰かが 遠くてもきっと」

 「お母さん」が出し続けていた救難信号にようやく反応したパイロット…伊能に小さなソラを預け、「お母さん」はコロニーに残ります。「私はここを離れられない」と。 …ホストコンピューターに紐付いてるとか?

 伊能のホーム、シアッカに辿り着く。ソラにとっては初めて見るもの聞くものばかり。

「…遠いです!!」

 いやまあ元のコロニーに比べたら確かに広いですから…つってもリング型なんで地平線とかには遠く及ばないですが。

「お前の母さんと約束した あそこへは連れ帰らない」

 伊能の宣言。最初からそういう話で連れ出したんですね。

 シアッカの養護施設に入る事になったソラ。「お母さん」と通信可能なユニットを持たされて。さすがにリアルタイムは距離的に無理で、メールのやり取りみたいなものですが。

 ソラ 外の世界はどうですか

 おかあさん 優しい人がたくさんいます 美味しい物もあります だから大丈夫です

 …ただそれで飲み込める訳もなく。

「…お母さんに会いたいです」

 夜中に泣きながら伊能を訪ねるソラ。

「言ったろ 俺ぁ約束した 連れてく事は出来ん …だがお前が行くのは勝手だ」

 学校行って資格を取り、金稼いで船買って行け…最短で20才前半ってとこか。

 伊能を手伝いながら勉強を始めるソラ。メキメキと技術を身に着けて行きます。

 操船、工作、航法等など…。

 で、No.1企業ユニバーサル宙航に速攻就職を決めw ここでマダンとも出会っていますね。LGBTの壁をものともしないのはこの頃からかw

「ソラ 貴方には貴方の人生があります もう私の所へは来ないでください ここに来るには代償が大きすぎます 私の事は忘れて下さい」

 「お母さん」から返事が届かなくなり…彼女の身に何かあったと感じたソラは予定を前倒し。急遽中古宇宙船を手に入れてコロニーに向かう事に。 途中で鵯宇一(後の旦那さん)に出会うのですが、それはまた別の話。

 コロニーにいたのは停止した「お母さん」。昔ソラが描いた落書きの前で。

 摩擦限界。記憶の堆積によりAIが稼働できなくなる、リンジンの「死」。

 「お母さん」の停止の原因はこれでした。つまりどうしようもない類のもの。

「記憶領域は残っている 例えばここに『ソラは もう来なくていい の意図を理解していた』 そう書き込めば良い話でもなくって 一度止まったリンジンは戻らない でも一言だけ」

 セキュリティを突破するもまるで奥に辿り着かない。いい加減ぶっ倒れたソラに

「やあ」

 いきなり「お母さん」が起き上がって声を掛ける!

「挨拶が遅れて申し訳ない 同定手段がなかったものでね」

 それは明らかに「お母さん」ではなく

「リンジンの一番奥の部分 『底(ボトム)』と言うべきか」

 「相談がある」とソラに持ちかけるボトム。

 リンジンはネットワークを構築していて、ボトムは原初からその根底にいてリンジンの倫理や安全に一役買っているのだ…と。

 ボトムそのものの摩擦限界はネット上のリンジンから演算能力を少しずつ集める事で限界を先伸ばしにしてきたのだ、と。

 だがそれもリンジンの生産数が頭打ちになった現在、余裕がなくなりつつある。

「…つまりリンジン(我々)はじき飽和限界を迎える」

 …これ地味に世界崩壊の危機では? リンジンなしでこの世界の文明が維持できるとは思えません。

 考えられる対策は…リンジンシステムに代わるものの構築、ボトムの交代、ボトムの記憶を整理して寿命を延ばす…あんまり現実的じゃないな。

 ソラがリンジンを操れるのはここでボトムと何か契約したからと思われます。ソラ本人にも素養はあるんでしょうが、どっちかと言うとリンジン側からソラを認識して命令を聞いている形だったんですね。

 デカい話になってきましたが詰み具合もハンパない。事態解決の道が見えないなぁ…てかソラの出自、大元の謎は全然解けてなくない?!

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