劇光仮面 5巻

「今 僕が見ているのは特撮じゃない ワンカットで起こっている現実なんだ 呑まれるな 正確に測れ 相手の造形(かたち)を」

 人龍の正体を現した鹿角を前に必死で冷静を保つ実相寺。 攻略の糸口を探す為喋り続ける。 …やろうと思うと割と何でも出来るんですよね、実相寺。特撮関係ない事やろうとしないだけで…。

「鹿角さん 『肉に死して霊に生きよ』ってどういう意味ですか? 映画の中で空気軍神が最後そう言い残すじゃないですか? あれってどういう意味なんですかね」

 クラウチングスタートのような体勢から踵のシリンダーを圧縮空気で伸ばし、スチールプレート入りの膝で鹿角を狙う!

 爆芯踵正座打ち!

 實相寺の膝は鹿角の顔面を砕くが、鹿角はそのまま実相寺の胴を締める!

「何者だ二矢工房? おまえの仲間も変身するんか?」

 仲間を締め上げて聞き出す、と嘯く鹿角。

「侮るな 我々は劇光仮面だ 甘く見るな怪人」

 腰の射出器を直接ぶち当てる! 肺に刺さる大ダメージ! 動けなくなった鹿角から離れ、警察に通報しようとする実相寺。

 しかし鹿角は肺を引き抜いて実相寺に突き立てる! 不死身かこの男。 そして体を離れた肺は膨れて…爆発!

 実相寺は仮面のバイザーを破壊され前が見えない。肺の再生で動けない鹿角から這いずって離れる。

 しかしその前に現れたのは鉄仮面を被った武装少女…伊栗鼠。もう一人の「人龍」。

 フレイルを振り回し、実相寺の仮面を破壊!

「伊栗鼠 そいつに気い許すな そいつは劇光仮面 味方じゃねんだ」

 追ってきた鹿角。もう再生が終わったのか。 二人は戦前の生まれでした。敗戦が近づく中、逆転のための秘密兵器として日本軍に改造を受けた人間兵器…それが彼らの正体。

 …にわかには信じられない話ですが、目の前で人龍の能力を見せられてはもう信じるしかありません。

「帰ろうや伊栗鼠 終わってんだ とっくに戦争は」

「戦争は敗けてもわしらが受けた命令は取り消されとらん」

 戦時中から老いる事もなく生きてきたのか…。

 再度二人から距離をとった実相寺。手分けして捜索のはんいを拡げた二人。

 伊栗鼠はキャンブしているはずの実相寺に差し入れついでに劇光服の馴らしに来ていた芹沢(アヤミユーリー)、真理(ベーアサーダ)、いちる(ネビュラブッディ)の3人と出くわします。

「おめーら劇光仮面の仲間じゃろ 亜門から聞いたで 劇光仮面はわしらの敵じゃ」

 容赦ないフレイルの一撃で芹沢が昏倒。携帯の電波が攪乱されているため、警察への通報に電話ボックスまで走るいちる。足止めする真理も仮面に一撃受けダウン!

「おめーの面 どっかで見たことあるのう! おめーは怪物と見りゃあ何でもかんでもぶち殺してしまう銀色のバケモンじゃ!」

 ネビュラブッディのモデルがウルトラマンならこういう印象抱かれても仕方がないですね…。

 電話ボックスごと滅多打ちされるいちる。

 フレイルを掴むことができ、手に仕込んだスタンガンを起電! 予想以上の大きなダメージを受ける伊栗鼠。まるで電気が弱点であるかのように。

「ネビュラブッディ その少女から離れて!」

 合流する実相寺。そしてもう一人。

「い…り…す」

 頭部を破壊された鹿角! 身動きも出来ない伊栗鼠を抱きかかえます。

 …実相寺は鹿角と対峙し、鹿角が落としたピストルで圧縮空気ボンベを破裂させての共倒れを狙っていました。

「特攻です」

「知らんだろ 本当の“万に一つ”」

 不確定要素の多い策を特攻に例えて万一に賭ける実相寺と、軍上層部の『万に一つ』の賭けに実際命を張らされた鹿角。

「”万に一つ“を願うやつは 九千九百九十九を殺すやつだ 覚えとけ小僧!」

 しかし撃たれたボンベはあらぬ方向に弾け飛び…跳弾して鹿角の頭部に命中! 皮肉にもとてつもない低確率で最大の弱点である頭部にクリーンヒットをもらってしまいました。ツキに見放された、とはこのことか…。

 この場の誰よりも強いはずの二人が包囲され、滅びかけている。

「もしかしたら私たちが“間違ってる”って可能性ないかな?」

 言い出したのはいちる。 ネビュラブッディの…外星人の視点から双方の行動を判断したい、と。

 仮面を脱ぎ、素顔で伊栗鼠に近づく…人間爆弾に!

「怪獣と見れば何でもかんでも殺してしまう銀色のバケモノ それって誤解だよ」

 そう、ネビュラブッディ…ウルトラマンとは超越した立場で異生物同士のトラブルに介入し、怪獣を保護する者。

「アモン イリス お逃げなさい」

 伊栗鼠を抱えて去っていく鹿角。

「法を超えた”赦し“もまたヒーローにしか出来ない そう思うのは僕たちがまだ子供だからだろうか」

 独白する実相寺。確かに真っ当に各自の利益とかを考えた場合、取ることの出来ない手段です。それをやってしまえるのは『ヒーロー』である所以なのでしょうか。

 ただ、鹿角と伊栗鼠の兄妹は人知れず滅んでしまいます。不滅の人龍と言っても脳神経は保たなかったようで、伊栗鼠は痴呆症ののうな症状を見せ始めていました。今を戦後すぐと感じ、進駐軍に乱暴される少女たちを救うべく夜な夜な街を徘徊していたのです。 『炙り少女』の都市伝説の真相がこれでした。 自身も負傷して満足に動けなくなった鹿角は伊栗鼠を抑えきれないと判断し、共に自爆する道を選びました。

「長い戦争(いくさ)だったな…」

 潜伏していた空き家での自爆…遺体は巨大イソギンチャクとして残ってしまうので遺体とも認識されないでしょう。本当に寂しい最期…実相寺たちに知れればやり切れないでしょうね。

 そしてまた新しい展開。人龍の事件のショックで右目を失明してしまった真理。その劇光服である「ベーアサーダ」を纏って犯罪を犯す者の存在。今度は真理が事件の中心か。

 鹿角兄妹にはバックはないっぽいですね。二人きりでずっと逃げ隠れしていた…と考えると哀れです。救いないな〜。

 以降の怪事件も過去の遺産がらみになったりするんでしょうか。

 で、真理の劇光服「魔改特捜ベーアサーダ」。阿部定モチーフに美少女仮面ポワトリン方面をプラスしたかと思っていましたが、まさかの「けっこう仮面」要素も入ってましたw 何この悪魔合体。事故が起きる未来しか見えないw 放送当時一体どんな騒ぎになったのか、是非見てみたいw

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