あかね噺 12巻

「”こうなって欲しい“がそのまま返ってくる 今まで以上にお客さんがついてきてくれる!! ヤバい 何コレ めちゃくちゃ気持ちいい」

 二ツ目への推薦がかかった一席。観客全てを巻き込んで場を作り上げるあかね。ここは全員味方…会場がホーム!

 更に世界を拡げる。賭場の壺振りがまんじゅうを怖がったり、サイコロに化けてる狸が札に化けたり。他の噺を自由自在に持ち込む落語のマルチヴァース…。

「世界が広がった今 もっと遊べる!! なんだって出来る!! この…落語動物園なら いやっ 落語ヴァースなら!!」

 乗りに乗っているあかね。しかしこの席は朝がおの二ツ目御披露目の前座。時間をオーバーは許されない!

「残り一分半を切りました」

「これ以上 噺を膨らませられたら会の進行がっ…」

「ひっきし」

 あかねを正気に戻したのは小さなくしゃみ…志ん太!

「そうだ 私はーー」

 数回壺を振るところを急遽ラスト一回に持ってくる。

 メインコメディアン加藤茶か、ボイスドラマで志ん太の声を当てた山口勝平氏か、という見事なくしゃみが脳内再生されますw

「梅鉢梅鉢天神様! いいな!?俺の大好きな天神様よ!! どうか出てこい! 天神様ァ!!」

 なんとか狸に出目を指示しようとして天神様の社の鬼瓦に梅鉢の紋(つまり五の目)を伝えようと…。

 …あかねの目指す道に重荷を課してしまった、と内心悔やんでいた志ん太。

「生半可な道ではないし俺が言えた義理じゃないのは分かってる それでも嘗ての俺がそうだったみたいに朱音にももっとーー」

「壺を開けるってぇと天神様の格好をした狸が出てきた ご存じ“狸賽”の一席でした」

 見事時間に収めた!

「ちょっと!!何!? 楽しいだけって感じの噺だったじゃない」

 眼を拭う志ん太に妻真幸が突っ込む。

「だからだよ」

 娘が境遇に負けず”楽しんでいる“ことが伝わったか。

 そしてあかねの噺を受けての泰全。

「二ツ目昇進か 推薦の件だがーー」

「はぁいストーップ」

 泰全の師匠、全生!? タイミングを外さないな。

「命令は守らなきゃだよね?」

 「あかねに推薦を出すな」の命令の念押しに来たのか…。

「師匠…私の意志は変わりません 私は阿良川あかねに二ツ目昇進の推薦を与えます」

「…彼女は成り得ます 一生師匠をも唸らす“真打”に」

 志ぐまも現れ、どうにかこの場は引き下がる全生。

 朝がおの昇進披露の一席は大成功。表向きは全て丸く納まり…。

「少し話せるか?」

 あかねと志ん太も数年ぶりで落語の話が出来るように。

「落語家になったんだな 朱音」

「…変わんないよ 目指してるトコも 通したい意地も 毎日必死…でも 楽しいよすっごく」

 さて、このお話の縦を結ぶ糸であろう”志ぐまの芸“。 ちょう朝、泰全、志ん太の世代と更にその前の世代…一生、柏家三禄、志ぐま(禄ゑん)、うらら(!)の世代も絡む話になるようですね。

「今日初めて高座を聞いたが 託したくなる訳だ あの自由さ 語り口 よく似ている 先代“志ぐま”…柏家生禄に」

 ”志ぐまの芸“の大元がついに出てきました。…相変わらずどういうものなのかはわかりませんがw あかねが受け継いで一生にぶつける感じになるんでしょうか。

 直近のイベントは兄弟子まいけるの真打昇進試験。審査員は阿良川四天王…つまり全生と正面衝突! そもそもここ数年出ていない真打…なれるのかまいける兄さん!?

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