
監禁生活でボロボロの体になっていた泰家。時行は彼を母・覚海尼の元へ帰します。これで泰家は歴史の表舞台からは姿を消す事になりますが、おそらくは心穏やかな晩年を過ごした事でしょう。戦乱の世で血と謀略に沈むのとどちらが幸せなのか…それは本人のみ知ることでしょう。
「宿命の戦の続きは…全て甥にお任せを!」
修羅の道を行く時行と顕家軍。その顕家軍に如何ともしがたい現実が襲いかかります。
即ち『兵糧不足』。足利残党のゲリラ戦術で補給を削られ、思うように進軍出来ません。
「現地調達するぞ この近くに南朝の荘園がいくつかある」
…略奪? 半済…蔵の米を半分供出せよと命じ、反抗すれば
「半分では足りない 全部下さい」
虐殺込みの略奪に切り替える。
結城宗広が活き活きと殺して回っていますが…わざとの面も大きいようです。
「兵糧の問題が解決し…配下たちは『大将軍のお役に立てた』と喜んでいます」
後醍醐帝によって準備も整わぬ内に軍を起こさなければならなかった顕家の苦しい内情を慮っての行為であったようです。
「我らは所詮野蛮な東夷 大将軍のため どんな汚れ役も引き受けます」
そもそも奥州では米は多くは収穫出来ず…本来コメは温帯〜亜熱帯の植物、品種改良もされていないコメが東北地方で育つわけがない…地頭の要求する年貢を納めるのは大変。
この辺の奥州の事情を帝はまるで感知しておらず、顕家は逆賊尊氏討伐の功績をもって帝に嘆願し、施策の修正を願い出るつもりであったのでした。
「余が変えてやる 地方の事は地方で決め 忠臣の働きを正しく評価し 才能が無駄に散る事の無い新しい世に! 汝らの声を余が天下に届けてやる 行くぞ!!」
京へ抜けるのに必ず通らなければならない盆地、美濃国青野原…今で言う関ヶ原。足利軍はここで顕家軍を迎え撃ちます。
上杉、小笠原等名だたる武将が集まり、顕家軍包囲殲滅の策を練っていましたが…
「却下」高師直配下の超武断派、土岐頼遠か割って入ります。真正面からぶつかる、と強引に決定し、布陣も無理矢理決めていきます。(くじで決める、とか言いながらくじを持つ配下の指輪を折って順番を盗み見る、とか…)
「なんなのだこいつは!? さっきから自分の世界でしかしゃべっておらぬぞ!?」
小笠原をしてこう言わしめる傍若無人。しかし皆時行に一敗している故に強くは出られず。
そして開戦する青野原の戦い。
まずは弧次郎対長尾の因縁の対決。上杉が膨大な経験則から免疫機能を理解し、長尾に死骸から奪った筋肉を増設した異形の姿。
対して純粋に鍛え上げた肉体に正宗謹製の攻防一体の太刀「鐵柳」を振るう弧次郎。
長尾がかち上げる力も逆用して斬り下ろし、長尾の大刀とともに改造した腕までも弧次郎が断つ!
「あんたの研究すげーと思うんだけど 雑魚ならともかく長尾とかは…下手に改造しない方が強いと思う」
…頭でっかち上杉w
ともかく豪傑への道を進む弧次郎。
そして時行は小笠原と弓の引き合い。
「貞宗の弓は全て理に適っていて…真似るほど見るほどに理解が進む ああ! 貴方を目指します 貞宗殿」
戦の最中、敵から学ぶ…豪胆にも程がある。
「認めよう時行! 我が最強の技を学んで死ねい!!」
その最強の技とは、馬の突進力まで乗せた…馬の頭さえ貫通して乗り手の胴を射抜く一射!
死んだかと思われた時行ですが…亜也子の金棒「四方獣」で咄嗟に貫通だけは防いでいた…更に同時に時行が射た矢は小笠原の首筋をかすめていた!
「今の矢だけは…逃げるわけにはいかなかった 皆に全てを委ねてでも…貞宗の奥義を学びたかった」
「逃げ上手の若君」が最後まで逃げなかった! その成果は尊氏にも通じるかもしれない奥義…。
「親離れして志ある顔に変わっておった どこぞの神も胡散臭く笑っておろう」
主も郎党も一回り強く。もうお飾りとは呼ばせない。
「どのみちこの戦は俺の戦だ 突撃」
局面に構わず真正面から顕家に迫る土岐。
配下の雑兵を「ぶん投げて」顕家軍の陣を崩す…! あり得ないがその圧倒的な力で強引に通す。その理外の戦術が顕家に届く!
「いかん 顕家卿が 朝廷の至宝が!!」
迫る土岐の剛剣を止める弧次郎と亜也子!
「遅参お許しを 我ら野蛮な東夷 獣のごとく顕家卿をお護りします!!」
…略奪回は相当アンケートが悪かったそうですね。ですがこの作品は少年マンガであると同時に歴史モノでもあるわけで。補給の大切さと切実さを表現するのはアリだと思います。
大河ドラマ「平清盛」でも「衣装が汚い」とか文句を言ってた人がいたそうですが…そりゃ初期の貧乏平氏を表現しようとすればそうなりますよ…。平太がピカピカの着物着てちゃモチベーション持てないじゃないですか。
特に歴史モノではこういうストーリーに関わるリアリティにイチャモンはつけて欲しくないなぁ…と思います。
アニメ「逃げ若」はカラフルな着物着てましたが…これは幕府トップの人達なのだから当然w てかどちらかと言うと…頼重の胡散臭さが当社比1.5倍なのがw
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