
全てはボラクチンの計略でした。
偶然から猛毒「砒霜」…砒素の事ですかね…を手に入れたボラクチン。大カァンオゴタイの命令にもなかなか従わないトルイ家の力を削ぐためトルイを毒殺、残されたソルコクタニ・ベキは…。
「大カトゥンはドレゲネ様の身をあなた様へお預けしてもよいと仰せです」
暗殺の首謀者疑惑がかけられているドレゲネの息子グユクに声がかかります。
「グユク様にはソルコクタニ様と結婚していただきます」
息子グユクにソルコクタニを娶らせる事で完全にトルイ家を大カァンの下風に立たせる、という事か。 どうでもいいですが夫婦間の年齢差凄そうですねw 権力の為には小さな事なのか。そもボラクチンがチンギス・ハンの后だったのですからオゴタイとは親と子くらい離れているはずですし…。
いきがかり上話を聞いてしまったファーティマとシラ。
「どうかドレゲネ様をお救いください お願いします!」
ファーティマからすればドレゲネが助かればOKなのでグユクが承諾すれば解決です。問題は何もかもボラクチンの掌の上だった事と…グユクが大分臆病者…というか鬱病なんじゃないか、という事ですね。
ソルコクタニへの使者に名乗りを上げるファーティマ。
「私が会いに行ったらどんな顔をなさるのかしら?さすがに怒る?私を責める?」
しかしソルコクタニの反応は薄く。
「大カトゥンはソルコクタニ様と大カァンのご長男グユク様とのご結婚を…」
「大分カトゥンのご意向に従います」
「え…」
あのソルコクタニが諦めている?
「私から全てを奪ったあなたが その傲慢なあなたが 『大切な人を失って絶望した』っていうの!?」
ファーティマにとっては願ったり叶ったりの状況のはずですが、そんな覇気のない彼女を見たくなかったのでしょうか…。
「もうあなたを守る人はいません 考えるのをやめて屈するならご勝手に でも私は考え続けますから」
捨て台詞を残して去るファーティマ。
しかしその後の廷臣たちが集まる会合。グユクとソルコクタニの再婚を正式に発表する場。
「そのお話 進める必要はありません」
会合の場に乗り込むソルコクタニ!
「申しわけございません大カァン大カトゥン この結婚やはりお断りさせていただきます」
オゴタイ家とトルイ家は既に固い絆で結ばれている、オゴタイ家を支える為にトルイ家のまだ若い者たちを育てなくてはならない…。
トルイ家は呑まれはしない、という決意表明。ファーティマの言葉に動かされたか。
『ねえトルイ 私初めて失うことを知ったわ あの子もそうだったのかしら?』
モンゴル中枢から少し距離を取ることになるソルコクタニですが、ファーティマたちに情報を残して行きました。 ドレゲネはオゴタイの側近イルケ将軍のところにいる、と。
正面からグユクとカダクがイルケに直談判に向かう間にファーティマとシラがドレゲネを探しに紛れ込む…果たしてドレゲネの天幕を見つけるファーティマ。
「私…あなたを裏切ってしまった」
ドレゲネに「原論」を見せる。
「あなたは守ってくださった 私の一番大切な想いを…いえ私たちの想いを」
この時点でファーティマに何もお咎めがないのはファーティマ…シタラの正体をボラクチンには話していない、ということ。最後の一線を守り通した証拠ですね。
ボラクチンはドレゲネと同族でチンギス・カンに嫁いだクランに仕えていた、という話でドレゲネを絆したようでした。クランの無念を晴らす為に言う通りにしろ、と。
…あぁ、「なんでドレゲネがボラクチンに従ったのか」の謎が解けました。
「ドレゲネ 邪魔するよ」
その場に突然現れるオゴタイ!
大カァンはドレゲネに息子グユクの領地で暮らせ、と勧めます。
「そうしてくれたらこれ以上は何も言わない 君には幸せになってほしいんだ」
これでドレゲネとソルコクタニがモンゴルの政治の中枢から消え、オゴタイとボラクチンは何の憂いもなく権力を振るう事ができるようになります。
オゴタイ政権が盤石になる現場に居合わせてしまったファーティマ。
さらにオゴタイはファーティマに声をかけます。
「俺とひとつ勝負しないか?」
自分はモンゴルをチンギスやトルイとはちがうやり方で豊かにしていく。ファーティマやドレゲネが幸せになれるように。
「お前だって故郷や家族を失ってきたんだろう さっきのお前の目…あの日のドレゲネとよく似てたもの その目で俺のやることを見ていなさい お前たちがここで幸せになったら俺の勝ちだ」
まさに王者がすべき戦い。オゴタイの見ているものと器が他とは違う事の証左です。
しかし、戻ってきたファーティマにドレゲネは言います。 グユクのところへは行かない、と。
「だって…このままじゃあいつの言いなりだもの そんなの…悔しい ファーティマ もう一度…私と戦ってくれる…?」
「…私 ちっとも賢くありませんよ?」
手をつなぐ二人。
「この国を…私たちから全てを奪ったモンゴルを…『良かったこと』なんかにさせるものですか」
二人はなんと政敵…ボラクチンの元に庇護を求めます。裏の裏まで知っている腹心…場合によっては汚れ仕事まで引き受ける手下として。
ペルシアからの使節がオゴタイの元に朝貢し、ペルシアにモンゴルの総督府が置かれる事になった頃、ファーティマがまた策を張り巡らせ始めます。
ボラクチンの側仕えの奴隷の少女が「砒霜を作る現場を見た」という情報をつかみ、またその少女の一族…オイラト族を圧迫するために宮廷がオイラトの娘たちを宮廷に召し上げてしまうつもりだ、という噂を利用して。
「トルイを毒殺したのは大カトゥンである」
…という噂をトルイ家と関係の深いオイラト族を宮廷が根絶やしにしようとしている、という噂と組み合わせて真実味を与えて広める…策士だ。
ボラクチンからファーティマがこの噂を流した当人だろう、と疑われると
「…それでは 私を信じていただくために この噂を流した犯人を捕らえるよう私にお命じください」
…最終的にあの奴隷の子を突き出すつもりだな…。
見えない戦いが展開していきます。ソルコクタニも一旦舞台を離れる感じですが、また戻ってくるのでしょうか。
ファーティマがオゴタイと星の話をしたとき、天動説の説明をしたファーティマに対し、オゴタイは原始的ながらも地動説を出しました。
ファーティマは書物に書いてあることが証明された事実で
「それが真理です それ以外はまやかしです!」
…と激しく抵抗します。
この場面、最初の頃のシタラなら頭ごなしに否定せず、地動説の可能性を考えたと思うんです。 ソルコクタニの時と同じく、モンゴルに対するバイアスがかなりかかっているんじゃないでしょうか?
彼女ほどの才女をしても偏見から自由になるのは難しい…これがファーティマの瑕疵になるのではないでしょうか。
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