逃げ上手の若君 17巻

 青野原の戦い。ナチュラルボーンモンスター土岐頼遠が北畠顕家軍を蹂躙します。自分の郎党を“ぶん投げる”というちょっと何言ってるか分からない攻撃方法で数十倍の兵力差のある顕家軍を分断していきます。

「北条にお任せを 突撃の速度を殺し矢の的にしてご覧に入れます」

 雫に策あり。時行と弧次郎が土岐のギリギリ前を逃げ回り、”ぶん投げ“を防ぎながら誘導。

 随伴の桃井は…亜也子が引き離す。

「私の事捕まえられたら嫁入り考えてもいいかな〜…」

 これであっさり引っかかるのどうなんだw

「囃せ囃せ皆の衆!! これより北条時行がお逃げだぞ!」

 逃げながら土岐の兵を削る北条。しかし…。

「うるさい小童共だ もう死ね」

 土岐は精兵数名を一気に斬り飛ばし爆散させ、周り全てを吹き飛ばす!

 美濃骨霰!

 …いや兵士ってそう使うもんじゃないから…。

 効果は絶大。時行と弧次郎は馬を振り落とされ身動きも取れない!

 だがその時 戦場に響き渡る雅楽!

「奏でよ公家衆! 雅な戦を東夷どもに見せてやれ!!」

 顕家が…伸びる?!

 わざわざ櫓を用意して高い所から睥睨して目立つ! いや剛弓で自ら戦場全体を援護する、という意味もあるのですがw

「土岐頼遠 自分自身を武だけで語る天晴な武士よ 美しき余を飾り立てて御死に晒せ」

 雅な口調で殺意満々な内容を吐かれる顕家卿…。

 櫓のしなりまで利用した強烈な一射で土岐を射抜き、その隙に玄蕃の爆弾、時行、弧次郎の斬撃でついに巨漢をよろめかせる!

「…おのれ 憶えたぞ いずれ必ず」

 川に落ちていく土岐。生死は不明ですがこの戦場にはもう復帰できないでしょう。

「皆の盛り上げ大いに結構! 青野原の祭事 これにて御仕舞!」

 青野原を抜け、次の不破関で待ち構えていたのは足利家執事 高師直!

 あまりに早い展開。顕家軍が傷付いた軍の再編もそこそこに進軍を急いだのにきっちり防備を固められてしまった…。 忍衆…天狗の成果か。

「一通り指示は済ませた 俺は執事の仕事で京に戻る」

 戦を前にして戦場を離れる?!

「後の始末は…息子に任せる」

 出て来た仮面の将は高師冬を名乗り…。

 時行に向けて放った技は“逆さ凶”。それは吹雪の技!

「上へ 少しでも上へ 野心が溢れて止まらない 尊氏様の名の下に 自分が天下に号令する」

 麿…国司清原と同じく、尊氏の悪しき神力に汚染されている様です。尊氏に都合がいいように精神が捻じ曲げられているようで。

 斬りつけられて意識を失う時行。

「ハイ三途の川へようこそぉ!」

 やたら明るい声w 頼重が助けてくれたのか…。

 一命を取り留めた時行。不破関を突破できず、顕家軍は本拠伊勢から奈良に回って京へ至る道を取ります。

 北進を阻むのは再び現れた高師直と桃井直常!

 京が近いと見て手柄だけ取ろうと後醍醐帝麾下の公家衆が軍に合流…はっきり言って命令系統と連携がガタガタになった顕家軍。陣の奥深くまで師直の軍の侵入を許してしまいます。雫のいる中央部まで…!

 師直の太刀をもろに受けてしまう雫!

「兄様のお家再興を 顕家卿のお祭りの国を ああ やりたいことが増えていく もっと力を出さなくちゃ いずれ消えてなくなる身なのだから」

 まっぶたつにされても平然とその場に立つ雫。

「…貴様 人ではないな」

「諏訪の御左口神(ミシャグジ)雫 今は北条家の執事です」

 ミシャグジと言えば長野方面の土着神。尊氏とか魅摩とかで神力云々の話はありましたので、時行の方でも強烈に神力を振るう人が出るかな〜と思っていましたが、具体名が出ましたか。ちょっとマイナー気味ですが。有名どころの「両面宿儺」は「呪術廻戦」に取られちゃいましたからw

 高師直、「全金属製帝に譲位」とか冗談みたいな事を本気で考えています。「真面目な人間が真面目に善後策を考えた結果、ギャグみたいな挙動をしている」感が満々です。これの恐ろしいところは本人が「上手くいく事を疑っていない」事。躊躇する要素がないんですね。更に言えば師直はこの時点で尊氏のカリスマに少なからずアテられている状態。政務軍務に支障が出ていないのが不思議です。

 尊氏によって人生が歪められた者が既に多くいます。このまま尊氏のやりたい放題だと我々の知っている歴史に繋がらないんじゃないか…という気もします。 転換点はどこになるのでしょうか?

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