
ハルオとそのツガイ、ウサギとカメが表紙です。オシラサマだったり手長足長だったり…ツガイを見て伝承が出来たのか、伝承を元にツガイが作られたのか。本編とは別に気になるところです。
陰陽のハラの中、影森家の保護を受けるようユルに勧めるアサ。
「普通の感覚でいたらこの界隈ではすぐ死体になる」
確かにやり方は荒っぽいですが、ツガイ使いは世間と折り合いが付けられない者も多く、彼らを守る為には暴力も辞さない組織が必要なのも事実。
実際アスマの母イオリは偶然ツガイを手に入れた事で周囲から変人扱いされ、身投げしかけていたところをゴンゾウに拾われていました。
『あなたと似たような境遇の仲間もたくさんはたらいてるしツガイ使いもそこらじゅうにいる 誰にも気兼ねなく暮らせるだろう ツガイ連れは大歓迎だ!』
それは集団を維持する為には外に辛く当たる、ということで…。
「座敷牢に入れるか?」
…成り行きで東京まで連れてきてしまった東村の子供、アザミに対してはゴンゾウも厳しい態度を崩しません。東村に戻されても外の世界を見過ぎたこの子はおそらく…。かといってここで命を断つのは忍びない。 ギリギリの判断なんでしょうけど。
その流れは勿論裏切り者アキオにも。
「危険分子を残しておけばおまえたちの命を危機にさらす事になる アキオを生かしておく事はできない」
ハルオとナツキがアキオの助命を求めますがジンは一蹴。警察はじめ公権力も、自分たち以外の何物にも頼れないのですから厳しくなるのは仕方ないことです。
アキオは生来痛みを感じない…いわゆる無痛症。自分の痛みも相手の痛みもわからない、つまり止まらない止められない。容赦がない。
裏稼業で生きていくしかない彼が影森に入ったのは幸運だったと言えるでしょう。
しかし親と思われる人物と連絡がつき…。
「その人があんたに何か吹き込んだの!?」
まるで気にしていない風で呟くアキオ。
「ヤマノカミは今すぐ逃がしてやってくれ 頼むよ ヤマノカミが壊されてしまう 死んでしまう」
果たして本尊状態に戻っていたアキオのツガイ、山風と谷風が…爆発!くっついていた粘菌のようなものが原因か。
騒ぎに紛れてアキオは逃亡。
迎えに来たのが例の「お母さん」らしいのですが…。
「これからはずっと一緒だ アキオ」
…なんか胡散臭いぞ。これヒトに化けられるツガイだったりしない? バックにいるのが例の「西の村」のようだし。
「四百年待った この貴重な機会を逃す訳にはいかない 今度は西が勝つ」
…この騒ぎでユルは結局デラさん家で静養する事に。アザミちゃんも引き取る流れ。
これでデラさん家に厄介になっているのはハナちゃん、ユル、アザミ、ケン、犬…ツガイが左右様、ザシキワラシ、リトルグレイ、ハナのツガイの犬猫…ついでにオシラサマw
「これ生活費どーすんですか!! デラさん山賊とケンカしちゃったからもう東村界隈の仕事来ないかもしれないんスよ!?」
家計の危機w…ですが東村関係者に招集がかかります。差出人は「山賊」。
「これ絶対フジムラヤマ倉庫の件でデラさん吊し上げてユル君差し出せってやつでしょ」
「ですよねー」
『全員シメればいいのか?』とか物騒な事言ってるユルを抑え、出たらどう考えてもややっこしい事になるデラさんもバックれ、ハナだけが何も知らないテイで出席する事に。
「東村を裏切ったんスね!? きっと『封』の子を手に入れて自分の欲のために使う気っスね!? サイテーっスね!!! 見つけたらシメとかないとあのウンコ先輩!!!」
ここぞとばかりに言いたい放題のハナちゃんw
下界の東村関係者をまとめる「社長」は、東村が影森に襲われてほぼ機能停止している今、下界は自分の主導でスピーディーに動かないと対応しきれない…と主張します。
…「解」と「封」を独占して全部牛耳りたい気持ちを隠してないな〜。
しかしこの辺の情報は全部西の村にもダダ漏れでした。集会場に仕掛けられていた未契約のツガイ本尊。
「あそこに集まってる東村の人たち何も知らないみたいだ ユルの居場所もわからない」
「使えねー奴らだな! もういい 役に立たねー奴らは潰しとけ」
筋骨隆々のジイさんの命令で粘菌を手に付けた少女が手を握り込む。
本尊…粘菌…爆発!!
あの粘菌もツガイか!
爆煙も収まらないうちに後始末に駆り出される女子高生峰山。そういう繋がりか。
スマホで喋ってる峰山の後ろに立つ影。
「学生さん? なんでこんな時間にこんな所うろついてんの」
ハナ! この子も荒事に強いのか。
「いやあ〜 塾の帰りに道に迷っちゃってえ♡」
第三勢力「西の村」が具体的に活動してきました。こちらは伝統的にツガイをあまり大事にしない習慣のようで。ツガイを爆弾代わりに使う事に躊躇がない。隣人としてツガイを大事にしている東村…影森とは対照的です。『ツガイよりもヒトを大事にする』みたいな主義なんでしょうか。
結局、ツガイよりもそれを使うヒトの方がはるかに怖い…と散々描かれた巻でした。同時にそんな人間が人を…友を大事に思うのも確か。
聖者ならぬ我々は傷つきながら生きていくしかないのですかね。
コメントを残す