異世界ありがとう 6巻

 シイナとギルバートンの歌で船は人魚の襲撃から一晩持ちこたえ、霧の朝を迎えます。霧が晴れれば風も吹き始める、とのことですが…。

 怯んだはずの人魚たちが霧に紛れて船員たちを襲う! 何体か倒した人魚は胴体が長〜く…。

「人魚じゃなく別に本体があるらしい」

 チバがファイヤーボールの軌道を無理やり曲げて船の周りを一周させ霧を払う。

 現れたのは…山のように巨大な魚…? 触手の先に人魚のような身体がついている!

 大魔術師レゼーネがつけたその生物の名は「テラステオス」。 人魚のふりをした触手で船乗りを海に誘い、引きずり込む…アンコウのようなものか。 恐ろしい声で吠える!

「ああ…怒ってんのか…」

 あまりに巨大過ぎる敵に人は抵抗する意志すら失う…。されるがままの船員たち。

「ロアン 来い この船はもう終わりだ」

 早々に見限り、船を脱出しようとするベイルード。一人だけ逃げようとしている船長を殺して小舟を奪い、脱出しようと…。 船長も大概ですが、ベイルードも手際が良すぎる。何度か似たような事をやってますね…。

 結局ロアンは一緒に行かず。もったいつけていろいろ言ってますがチバたちを見捨てて行けなかった様子。

「おまえは最後まで甘っちょろいところが抜けなかったな せいぜい後悔しろよ」

「そうかい…そうかもな オレはお前の航海の無事を祈るよ 甘ちゃんなんでな」

 テラステオスに怒りを上回る恐怖を与えて逃げ出させる! その為に上級魔法を唱えようとするチバ。一発は撃てるはず…! しかしMPが足りない?

『はっはは おまえさ、そんな簡単に上級魔法が撃てるわけないだろ?』

 現れたのは幻…高校時代のチバ?

『消費MP60とか舐めたこと書いてたからーー120に書き直してやったんだよ 高校の時に 覚えてない?おまえ高校の思い出、黒歴史化してるのか全然忘れてるな』

『強力な魔法を使いたかったらそれ相応の代償を払わないとリアルじゃないよな』

 なにかあったはず、と悩むチバ。

 そこへシイナがアサルトライフルw抱えて乱入!虚無の袋から出したらしい。

「ほら、あの!お互いが死んでも…ってヤツ!?おれ今あれの心境だわ! わはは チバに追いついたかも」

 使ってない魔法とかあるなら使っちまえ、とか焚き付けて…そのまま人魚に攫われる!?

 海に引きずり込まれたシイナ。へたり込むチバ。

「シイナを返せよ…バケモン」

 吹っ切れたように立ち上がる。

「我が寿命を二百年捧げる」

 それは上級魔法の更に上、禁断魔法。

 周囲で魔法が発動出来なくなるほど魔力をあつめ、光すら引き込む…!

 次の瞬間、テラステオスは跡形もなく消滅していた!

 …すごいけどチバ、その体借り物…。

 何とか船は夜の大陸の玄関街、ウナの街に到着。

 生存競争に負けたオークが街まで降りてくるとかヒトに擬態したモンスターが街中…浴場まで!…入って来るとか、さすが夜の大陸はレベルが違う。

 更に禁断魔法の副作用でチバが弱体化。シイナに「旅をやめよう」と言い出します。シイナを護れる自信がないから…と。行き違いから揉める二人。

 呪術師のおっさんやロアン、ギルバートンに焚き付けられて本人同士で話し合う事に。

「いやいや 逆に今までがおかしかったんだって! 性能に差がありすぎというかさ!むしろこれで対等じゃねーか!」

 逆に喜ぶチバ。こういうとこだな、チバのいいとこは。

「行こうぜチバ 夜の大陸最深部目指して… おれはこの旅でチバが死んでも後悔しない…!」

「…わかったよ 俺もシイナが死んでも後悔しない…!」

 いつか何もかもが変わるかも知れない。この約束も意味を成さなくなるかも知れない。それでも今この瞬間通じ合った心は嘘じゃない。

 戦力的には弱くなり、でも心はお互い強くなって二人は旅を続けます。

 …とはいえ夜の大陸で生きていくには心許ないのも事実…。どうするのかな。二人のこっちでのツテといえばそれこそロアンやおっさん、ギルバートンくらいしかいないんだけど…こいつらとパーティー組む? …ギルバートン君が生殺しだw

 てかシイナって戦闘以外ではわりと有能ですよね。スキマ商売思いついたり、虚無の袋に「空気」入れておくとか小知恵が回る印象。 ただ人生の時間で考えると殺し合っている時間より普通にしてる時間の方が圧倒的に多い訳で、ベイルードが言うよりシイナって必要な人間なんじゃないかな、と思います。

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