ゆうえんち -バキ外伝- 6巻

「よく来たね葛城くん 心の準備はできたかな? うむ…では私から入園の心得を説明しておこう」

 蘭陵王のお眼鏡に叶った無門。蘭陵王当人からゆうえんちの説明を受けます。

 参加者は棺に入れられ、ゆうえんちの敷地内に置かれる。開始時間に自動的に蓋が開き、五百万円と交換したチップを奪い合う。チップを失ったら失格。武器の持ち込みは不可。敷地内からも武器になりそうな物は可能な限り取り除かれる。そのうえで敷地内にある物を武器に使うのは構わない(椅子で殴る、とか)。

 最後に蘭陵王が出した話。ルールではないが…と前置きがありましたが、ここまで眉一つ動かさず聞いていた無門が目を剥く内容…だったらしいw こちらには説明なしです。殺人すら許される試合ルールでいったい何を聞かされたのか…。

 棺に入る無門。

「いろいろ説明を受けたが俺の目的は金じゃない 柳龍光と闘うことだ そのためにいかに効率よく動けるかが重要」

 開始と同時に身を隠し体力を温存する事を考えていましたが…。

「ご入園の皆様 大変長らくお待たせいたしました 只今よりゆうえんちを開園いたします どうぞ皆様この夢の国の冒険を存分にお楽しみください」

 ふざけたアナウンスと共に棺が開く。無門が見たのは…隣にある空の棺。

「おはよ かわいこちゃん」

 後ろから棺の蓋でぶん殴る! 咄嗟に蹴り返す無門!

 襲ってきたのはプロレスラー・ゴブリン春日。

 開始前に棺から出るなとは言われていない、と超論理で棺の蓋を破壊して予め対戦相手の棺が開くのを待ち受けていました。更に言えばこの男は極東プロレスの元社長…物語冒頭で無門にボコボコにされた町田たちの親玉…思わぬ因縁です。

 …いや仕組んだな?蘭陵王…。

「知ってるよ プロレスラーだろ」

「プロレスは強いぜェ」

「それも知ってる」

 そこで周りを見回した無門が気づきます。ここは本物の遊園地。そして大木のあるこの広場は…。

「あの映像で見た 先生と柳が闘った場所だ なんて趣向だ蘭陵王」

 否が応でも上がるテンション。

「それで坊や キミの名前は」

「…葛城無門」

「は? そうかお前か… 町田をやった坊やってのは なら遠慮はいらないってことだな」

 ゴブリンの方も因縁に気づきました。もう両者共退けません。

 棺の蓋で殴りかかるゴブリン!無門は同じく棺で受け、隙をついての金的蹴りで形勢逆転!倒れ込むゴブリンにとどめを…刺さない?

「なんだ もうやめちゃうの?」

 …まるで効いてない。倒れたのも誘い。

『これがプロレスラー 耐久力が人の域を越えている』

「なんだ まだ始まったばかりじゃないの」

 二人の動きが一瞬止まったところにふらりと現れた男…。

「ここはかつて…馬鹿な漢と闘った思い出の場所なんだけどねぇ」

 そこに知った顔の漢が立っていた 初めて会う しかしその漢が誰であるか知っている 忘れようのない顔 柳龍光

 追い求めていた標的が目の前にいる!

 共闘の誘いもありましたが(しかも両方から!)闘う理由の異なる3人ではそれも叶わず。

 柳に復讐したい無門、観客が湧く勝負をしたいゴブリン、「敗北を知りたい」柳…。

 結局、柳は去り無門とゴブリンが闘う事に。

「キミは私に興味があるようだが 私は負ける奴に興味がない 行くよ 朝まで生き残ったらその時に遊んであげるよ」

 そう言って柳は消えていきました。

「10分やる 好きに攻めてこい」

 プロレスラー全開発言のゴブリン。その挑発に乗って攻めまくる無門。しかしまるで効きません。何せ僧帽筋が発達しすぎて首絞めすら効果がない…格闘マンガに出てきていい能力じゃないw

 業を煮やして無寸雷神の体勢…両掌でゴブリンの頭を挟む…に入りますが

「おい そいつはプロレスじゃねぇだろ」

 気迫だけで無門を離れさせる。

「いまやろうとしたの町田を倒した技だな そんな地味な技で客を冷めさすんじゃねぇよ」

 あくまで観客を湧かせる事が第一のゴブリン。

 …その観客がゴブリンのイメージ…妄想の産物っていうのが問題なんですが…。

 プロレスラーならどんな危険にも踏み込まなければならない。血が出ようが肉が切れようがお客さんがいる限り。

「狂うんだ どっちが狂えるか狂いっこだよ 馬鹿の比べ合いだよ俺らのやってることはさぁ」

 まさに狂気。一転して一方的に攻められる無門。しかし苦し紛れに放った蹴りが効いた…?

「そうか! 俺はゴブリン春日に惑わされていた」

 ゴブリンは狂乱しているように見えて無門の攻撃を巧妙に誘導していました。予め攻撃が来るのが分かっていれば、そこの筋肉を固めて耐えきることは可能。彼は狂っているように見えて常に冷静に戦略を立てていたのです。 魅せる…演技込みの格闘。これもまたプロレスか。

「ごめんなさい 春日さん」

 帽子を脱ぎ敬意を表す無門。柳とのことを優先するあまりゴブリンに本気になっていなかった。体力の温存とか余計なことを考えていた。その事を謝る無門。 太山の教えが脳裏に響く。

『いくら自分が…傷ついていようが相手が…弱っていようが言い訳にならねぇ 向かい合えば全力でぶつかり合う…わかるか? おれたちは格闘技をやっているんだ』

 一旦対峙したら相手に全力を傾けないのは失礼にあたる!

「全力でいくよ春日さん」

 誘いを無視した打撃でゴブリンを追い詰める無門。それでもゴブリンのタフネスは異常…打撃で倒せる気がしない。

 無門は「以前から思いつきはしていたが試すつもりはなかった」技を放つ覚悟をします。

 無寸雷神を…心臓に向けて撃つ!

 無寸雷神心打

 心臓に直接ダメージが通る…鼓動が止まるかも知れない危険な技! 実際ゴブリンの心臓は停止しましたが…それでも殴りかかって来る! なんという執念!

 覆いかぶさってきたゴブリンにもう一発、頭に無寸雷神を喰らわせてようやく止まり…。

 一応ゴブリンの心臓は再度動き出したので、無門は殺人犯にはならずに済みました。 

 ゆうえんち一戦目 葛城無門対ゴブリン春日は葛城無門の勝利! しかしゆうえんちにはこのクラスのバケモノがまだまだウヨウヨしている訳で…。もう一回柳と会えるのか無門?

 しかしゴブリン、過去エピソードを見ていると狂気が嘘とも思えません。狂乱しながらも打撃を誘導するクレバーさを保持していた、という事になります。 これって自分の精神を完全にコントロール出来ている、ということで…外見よりもずっと完成された格闘家だった、と言うことに…。

 これはバトルマンガで時々ある「序盤の敵がよく考えたら無茶苦茶強かった」案件なのでは?w

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