
あの頃の私は本当に何も知らない子供でした これからするのは私がこの世界について知っていく色々なお話です
おそらく主人公海々(みみ)のモノローグで始まる「ルートサーティスリー」。何も知らない女の子が出ていくにはちょっと厳しい世界ですね…。
「読書の時間終わりっ 次は外を見る時間! 近くばかり見ていると目が悪くなります 子供は近視が進みやすいんです!」
部屋の中で独り言を(割と大きな声で)しゃべりながら日課をこなしている少女。ひとりで過ごす時間が多かったことが察せられます。
この娘が海々。「お母さん」が食料を探しに出かけて既に12日。危険だから部屋の外に出てはいけない、とお母さんに言われていましたが部屋の食料も尽き…。
「約束です お母さん! でもごめんなさい!やっぱりお母さんのことが心配です!」
はじめて外へ出る海々。外は広くて、草生していて、壊れた車にだいぶ古い骸骨が乗ってたり…なんかおかしいな?
出会った男は正体不明の生物を斧でカチ割っていました。
「あのっ お母さん知りませんか!?」
そうじゃない。
「違うっえっと…初めての人と話す時は挨拶と自己紹介!」
「こんにちは!私 海々ともうします! お母さん知りませんか!?」
そうでもねぇ! なんかズレてるなこの娘。
この娘は本でしか知識を得ておらず(男を見た事もなかった)、世界が変わってしまった事も知らずにいました。
隕石に付着していたウイルスによって地球の生物が変化した生物、アノマリー。知能の低下とともに筋力増強、外皮の硬化などの症状があらわれ、他の生物を食い荒らすようになる…。
「え!?人を食べるんですかぁ? 動物は!?タヌキは食べますか!?」
「…ッ 動物も食べるっ」
「野菜は!?」
そのアノマリーに襲われてるんだけど、余裕あるな。
アノマリーに追いかけられている状況で男…洋が話します。
「脳さえ破壊できれば奴は死ぬ しかしそのためには奴らの硬化した表皮を砕いてからその下の脳を潰す必要がある」
「あ わかりました! 私が邪魔なんですね!?」
大きな武器を振り回せば隙ができる。小さい女の子を護りながら戦うのは無理…知識がないだけで理解力、洞察力は非常に高いです。
海々は自身を囮にする作戦を提案し、見事アノマリーを退治。胆力もたいしたものです。
「お母さんを捜す」という目的のため、洋についていく事にした海々。…実は海々の母は既に亡くなっています。アノマリーに襲われて瀕死だったところに洋が通りかかり、最期を看取っていたのです。
本当に誰も頼る者がいない海々をイヤイヤながら面倒見る洋。はずみで母の死を海々に話してしまいますが、埋葬したはずの遺体がない…?
「これは“偽装”だ」
目的は不明ながらも何かを隠そうとしている、と洋は見抜きます。
果たして、海々には大きな秘密がありました。海々の本名(?)は“33番”。
「人間とアノマリーの遺伝情報をかけ合わせて異常的病態変化への抵抗因子を持つよう作られたデザイナーチャイルドってやつよ」
つまり海々の正体はアノマリーウイルス感染予防ワクチンや治療薬を作り出すための実験動物…!
組織のエージェント、楡井玲未によって明かされた事実。世界を救える、と説得された海々は玲未について行こうとしますが、洋が待ったをかけます。
「嘘臭えっ」
「親切ぶってもっともらしい言葉を並べて相手を操ってやろうって魂胆が見え見えだ」
「俺に“助言”は必要ない! 俺は俺が見たものだけを信じる 例えば『海々の幸せを本気で願った女の裏切り』とかな」
人はやりたいことをやっていい。
「お前の行く先はお前の心で決めていいんだ」
何かから解放されたかのような海々。
「腹をくくった」と、何故か組織を裏切って洋と海々の側につく宣言をする玲未。
「でもまずは!ミミちゃんのママちゃん 会いに行くっスか!」
アノマリーに対する特効薬、という世界を変える術を秘める海々ですが、そんなもの無くても彼女の前向きさと元気さ(セリフの末尾に大抵感嘆符がつくw)は周りを良い方向に変えて行きます。周りを巻き込んでいくその特質は得難い者ですね。
体力なさすぎとか、知識偏りすぎとか問題は山積みですがw
余談ですが、作者のランドルフ先生、情報なさすぎです。データがないのはもちろんですが、検索してみると「スティーブン·ランドルフ」とか「ランドルフ·カーター」とか出てきてヒット率が異常に低いw ちょっとペンネームが一般的すぎますよw
pk MUNDO 🌍 への返信 コメントをキャンセル