-
あかね噺 14巻

「いやぁ…よくやった よくやったなァ」
まいける真打昇進決定を喜ぶ志ぐま。それだけなら泣ける場面なんですが…。
「兄さぁん!! すごっ…すっ すごい!!すごい!!兄さん!! 兄さぁん!!!」
弟弟子3人が涙でぐしゃぐしゃになりながら抱きついて来るw しまらないけど温かい一門の絆。
まいけるもめでたいですが、あかねも二ツ目昇進がきまってます。昇進の準備で駆けずり回るあかね。…といっても何もわからないので志ぐまが一緒になって駆けずり回って…大変だな師匠。
「来月の俺の独演会 開口一番…任せたぞ」
今迄頼まれたことのなかった独演会に誘われた。
認められた?
「うすっ!! 謹んでお受けします」
その独演会が開かれるのは渋谷。最先端のカルチャーが集まるこの街に古典落語一つで挑み、落語を選ばせた…志ぐまの凄まじさよ。 ガワは友達の多い、多趣味で気のいいおじいちゃんなんですがw
独演会当日。あかねが開口一番にかけたのは「初天神」。天神さまのお祭りに出かける子供と父親の噺。楽しそうにはしゃぐ子供と面倒くさがりながらも笑顔がこぼれる父親。その関係は弟子入り当初の小学生あかねと志ぐまにも似て。
「踊りも遊びもはしゃぐのも半端にやらない 師匠に教わりました 落語の世界を楽しむことを!!」
復讐のためだけの落語マシーンにならすに済んだのは志ぐまの功績でしょうか。
天神さまには寿限無寿限無〜長久命の長助が来ていたり狸賽振って博打やろうとしてたり、あかねの落語ヴァース全開! 習い事の過程は習ったことを反復する“守”から基本を外す”破“へ進む、と言いますがこれは正に“破”。大舞台でその成長ぶりを遺憾無く発揮するあかねでした。
さて、この会の本番はこの次。志ぐま師匠の高座です。
「この渋谷の会は師匠が”十八番“を演る会 身構えもするね 聞けるのだから 落語界の頂点…其の一人 阿良川志ぐまの“本領”をね」
かの辛口批評家学問先生をしてこう言わせる、阿良川四天王 人情噺の名手”泣き“の志ぐま。
「ほぉら…死にたいんだろ?教えてやるから 誰って俺ァ…死神だよ…」
「死神」。何もかも上手くいかない男が死神の力を借りて財を築くが調子に乗りすぎて自分の寿命を縮めてしまう、有名な噺。
無駄なものを削ぎ落とし、最低限の言葉と仕草で観客の想像を掻き立てる。否が応でも客を引き込む魔性の落語。
実際「死神」は上手い方がやると本当に怖い噺でして…。 自分の寿命の蝋燭を継ぎ足そうとして震える手を抑えながら替えの蝋燭を伸ばすシーンとか洒落にならない緊張感なんですが。
そのまま倒れ込む仕草落ちで幕が下りるまで観客が身動き一つ出来なかった…。まさに名人の仕事。
この高座をあかねに見せた意義とは。
「今年は例年に比べても出色の出来でしたね」
「そうかい じゃあ来年も来ねぇとな もっとすげぇの見せてやるよ」
“志ぐまの芸”に一番近いと言われる現志ぐま。その力の一端が明らかになりました。
また”志ぐまの芸“自体も禄郎が探している事でいくつか明らかになってきました。もともと柏家一門に伝わっていた演目で、先代志ぐまが高座にかけてはいたものの未だ未完として名をつけていなかった、とか。 それがなぜいま阿良川一門にあるのか、全ての謎は“先代志ぐま”柏家生禄にしゅうそくするようです。
…実はその時代の話…若き一生や志ぐま…ついでにうらら師匠wの時代の話をやっていますので次巻あたりはその話になるのではないでしょうか。
-
ドカ食いダイスキ!もちづきさん 1巻

「『ある』のがいけない!! 『ある』のがいけない!!!」
深夜のコンビニで手当たり次第に食い物をカゴにぶち込んでいる望月美琴さん(21歳)。この方の食生活を赤裸々に描いてSNSで話題になっているのが「ドカ食いダイスキ!もちづきさん」です。
通常、こういうメシマンガはキャラが何かを食べて幸せになるモンなんですが…「こんなのは本当の〜じゃない」とか言い出す作品もありますが最終的にはメシ食って泣く、感動するなど幸福よりの方向に持って行くのが定番です。
これ…望月さん、何だがすげぇ追い詰められながら食べてるんですよね…。
半分くらいのページで腹減らして死にそうな顔をして、お昼に待ちわびた様子で「ドカベン」初期の山田太郎が持って来てたようなクソデカ弁当箱を出すw
「ちなみにその弁当箱どこで売ってたの?」
「ふつうにハ〇ズとかにありますよ!!」
で、鶏もも肉の照り焼き弁当とか、炭水化物はもちろん脂肪も塩分も半端ない弁当を親の仇のような勢いでかき込む! これが約1800kcalだとか。…ちなみに成人女性が1日に推奨される摂取カロリーが1400〜2000kcalとのことで…1食で1日分ですね。
そしてこの暴食後、満腹感と血糖値の急激な上昇による多幸感で酩酊…本人は“至る”と呼んでますが…彼女が幸せそうな顔をするのはほぼここだけ!
こんな感じで全編に渡って望月さんがヤバい飯を食べまくります。
残業中にクソデカカップ焼きそば2個食い、ダイエット食に耐えきれずに4人前相当のオムライスを作って…流石に食い切れずw、健康診断のための絶飲食明けで某カレーショップの大盛りトッピングマシマシ完食、低カロリーを追求しようとして血迷って作ったドカ盛り唐揚げ丼w
これらをコミカルに描いている訳ですが…見ていると段々怖くなっていくのが絶妙なところ。
作中端々で出てくるんですが、どうも望月さん、こんなに食える身体のスペックないんですね。ギャル曽根さんみたいな超消化能力がある訳では無い。
”至る“にしても、血糖値上がりすぎて処理出来ていない、ということですし…。
「糖質中毒」という言葉があります。これは血糖値が上がった時の多幸感を味わいたくて甘い物を摂りすぎてしまう症状のことらしいです。望月さんは甘い物に偏っている訳では無いので少し違いますが、空腹が我慢できない辺り、血糖値が安定させられない体質なのかも…今「糖尿病」という言葉が頭をよぎりましたが…。
この腹持ちの悪さのせいで「キラキラ充実した休日を過ごそう」と決意したのがボロボロになったり、最初の方で書いた「追い詰められてる」のは外的要因ではなく、この望月さんの体質のせいのように思います。
ギャグに見えますが一皮剥いてみるとひとりの女の子が壊れていく様を描写するホラー…そんな立ち位置でしょうか。 皆が笑いながら内心ハラハラして見ている…ほんわか平和なアニメを装ってガチシリアスハード路線を描ききった「魔法少女まどか☆マギカ」の後継者と言えるかも知れません。
…ただ、CoCo壱番屋さんとかコラボ案件取ったりしてますし、あんまりヤベー終わり方はしないんじゃないか?なんて意見もネットで散見されますね。
その辺は作者まるよの先生の覚悟次第かなぁw
-
ONE PIECE 110巻

怪物化した五老星の介入で混沌を極めるエッグヘッド。
ドリーとブロギーと合流して逃げるルフィたち。
「急ごう急ごう どうせあいつら不死身なんだ!」
巨兵海賊団が海軍を引っ掻き回している内に脱出を図ります。
そんな中、パンクハザード地下遺跡にあった巨大ロボットが動き出します!
『スマナイ…ジョイボーイ』
一方、ベガパンクの配信を止めようとする以津真天…だからマーズ聖か…ややこしいな…。ラボごと破壊すると「パンクレコーズ」も吹き飛んでしまうので、ヨークの手も借りて「配信電伝虫」を探す事に。
サニー号を逃がす為、エジソンは身を挺して脱出路を作ります。
「お前たちの船は必ず海へ着水させたる!!」
…そういえば本体たるステラの命は尽きたのに脳である「パンクレコーズ」は生き残っている状態なんですよね。しかも分体は生き残っている…個体認識とかどうなってるんだろう?
「貴様が死んでも生き続ける これが『お前』か?…ベガパンク… 死とは一体何だ…?思想はどこに宿る…?」
「パンクレコーズ」前に立つマーズ聖も疑問に思っている様です。天才の考えにはついていけない…。
ベガパンクの配信は世界に届き、注目が集まります。シロップ村、ハチノス、シャボンディ諸島、インペルダウン、リュウグウ王国…。
「結論から話そうか…!! この世界は…海に沈む!!!」
曰く、900年前から800年前にかけての記録のない時代…「空白の100年」ができたのは海面上昇による文明の消失が起こったから。その上昇幅は実に200m! …現実世界でもこんな上がり方したら平野部は大半沈んでしまうでしょうね。
しかもこれは自然現象ではなく、人為的なもの…「古代兵器」の仕業である! ルルシア王国を消し飛ばした謎の光がそれだ!
その古代の戦いは世界政府の前身…20の王国の臨時共同体「連合軍」対“ジョイボーイ”…エルバフに伝わる太陽の神”ニカ“のように手足の伸びる男をリーダーとする集団の間で行われた。
「彼の名は“ジョイボーイ” この海で初めて”海賊“と呼ばれた男じゃ!!!」
そしてこの戦いは今も続いている。古代兵器は起動の時を待っている!
これがオハラが辿り着こうとしていた真実。そして全てを知った者たちがもう一つ。
「“海賊王”の一団である!!!」
ラフテルでロジャーが見たものの全てはまだ明らかになっていませんが、それこそがロジャー海賊団を世界政府が追い続けた理由!
そしてベガパンクが配信電伝虫を隠した場所も判明。動き出した鉄巨人の中! 失われた文明の遺物、ジョイボーイの名を呼びながら暴れ出す!
『先ニ行ッテ オマエノ敵ハオレノ敵 ウレシイナァ…マタオマエノ為ニ戦エル…!! ジョイボーイ』
ルフィを逃がす為、五老星の怪物たちとの間に立ち塞がる!
それでも土蜘蛛…サターン聖がルフィたちを逃すまいと追いすがる。
「行くぞ!!あいつらぶっ飛ばしてぇだろ!?」
「そんなのムリだよ だってその姿…」
「やれるさ お前の能力よくわかんねェけど!!」
ニカ姿のルフィがボニーを誘います。「あれはおれが自由になった姿だ」…ルフィからそう聞いていたボニー。
「”ゆがんだ未来“…!! “あたしが一番…自由な未来”!!!」
その姿はまるで”ニカ“! そうか、トシトシの実の能力は想像力次第でいくらでも強くなる、ということか。ボニーが限界を越えた…!!
サターン聖に立ち向かう。
“お前には奴隷になる事と死ぬ事しか許されていない”
「よくも…!お父さんを…!!」
”お前の母に薬物実験をしたのも私だ“
「よくも…!お母さんを!!」
「お前らが“神”なわけない!! 神ならいる!! ヒーローもいる!!」
”お前を助けにやってくる!!“
「ホントは3人で暮らしたかった!一人ぼっちならもう死にたいとも思った!! だけど生きるんだ!!」
“ボニー 生まれて来てくれてありがとう!!”
「二人があたしを!! 祝福してくれたから!!」
「「解放の!!ニカパンチ!!!」」
二人のパンチで初めてサターン聖にダメージが通る! ついに逃げ切るルフィたち。
ベガパンクの配信も終了が近くなっています。
「もう止めようがない… 『それ』を手に入れる者に!!世界の命運は委ねられるのじゃ!! ”ひとつなぎの大秘宝“を!!!手に入れた者に!!!」
大きく物語が動き出しました。世界政府の蛮行が白日のもとに晒されてしまった以上、反乱の芽はあちこちで芽吹き始めるでしょう。“ひとつなぎの大秘宝”に最も近い四皇が動きを早めるのは勿論、各地の心ある人々…更にはコビーたちSWORDがそのまま世界政府に従うとも思えません。
ここへ来て全く新しい陣容に変わる可能性が出てきました。二十年越しでルフィとコビーの揃い踏みが見られるかもw
-
メカニカル バディ ユニバース 1.0 3巻

「コーディリア・ハーシェルが家出したらしい」
前巻ラストでメンタルダメージを受けたお嬢様がそのまま出ていってしまった様ですね。 シゥからホークアイズに連絡、そこからブラウに連絡が来て…手分けして捜索することに。
「『私』は…何なの…」
アイデンティティの危機に瀕して心此処にあらずな感じでふらつくコーディリア。野良ドローンに襲われているところをブラウに救われます。よりによって一番乗り気じゃない奴に見つかってるw
早速通信で報告…。
「繋がらない?何故急に…ジャミングされている… お前か」
「騒がれたくないの 私は家出中なのよ」
いい加減観念しろお嬢様w
屋敷の為に作られた自分は屋敷から離れられない。自身がどうでもいいと思っても結局そう遠くないところを彷徨うことしかできない。ならば私は一体何なのか…。
似たような出自のせいか心の内をポツポツ話し始めるコーディリア。
「だが一つ分かった お前は子供だ」
ブラウさんバッサリw
アンドロイドも人間同様に経験を貯え、そこから自我や個性を獲得していく。 コーディリアはおそらく稼働してそれほど年月が経っていない。それ故の思考のぶれ…思春期みたいなもんか?
「役目の為でなく『誰か』の為に存在しろ 生かすことで我々も生きることが出来る」
「それだけ?それで…『どう生きるか学べる』と?」
「ああ 私の経験で得た答えだ お前も相棒と学べ」
「…『先輩』からの助言として受け取っておくわ」
ブラウから出たと思うと重みの違う発言ですね。
コーディリアにとっての『誰か』とは…。
「おかえりなさいませ お嬢様」
…シゥですよね、やっぱり。
「必ずここにお帰りになっていただけると思い お待ちしておりました」
「そうだろうと思ったから帰ってきてあげたのよ」
なんとか元通り。「コーディリア」自身の確立にはもう少し時間がかかるようですね。
さて、捜索に参加しなかったダリアとジュークですが…「バンシー隊」の同窓会のようですね。
「なんであの時…私達を連れてってくれなかったんですかぁ…」
「私達は兵士としていつでも死ぬ覚悟はあった 納得出来る死に方なんて選べるもんじゃなかったとしても…だ けれどその覚悟や私達の誇りが裏で利用され切り刻まれていることを知って ただただ…癇癪を起こしたかったのさ」
なにかいろいろあった模様。軍を飛び出したっぽいですが、おそらく政府側はその後討伐部隊を出す余裕もなくなっていったんだろうなぁ…。
飲み会を邪魔するゴロツキをあっさりボコるお祖母様方w
その飲み会帰りのダリアを後ろから見つめる人影。
「昔馴染みに会ってきたばかりのせいか 懐かしい視線を感じてね… あの子とも…年寄りになって酒を交わしたかったよ」
その視線の主は…「怪異」の首領「口裂け女」!
再生治療のミスで記憶を失った「口裂け」、街を彷徨っていてダリアに出会ったのは偶然なのですが…
「今の…あの人…知ってるッ 知っている…ッ でも…ダメ…会えないよ 『こんな姿』…見せられ…ない…」
「のっぺらぼう」がキレて記憶を取り戻させるんですが
「俺を…俺の顔をこうしておいて 今更お前だけつマらねえ人間に戻ろうなんざ認メられらわけねえだろうがッ!!」
荒療治と称して「口裂け」の深層意識から引っ張り出した顔は…若い頃のダリア?
「その顔で見るな!!」
「口裂け」は記憶を取り戻し(のっぺらぼうはひどい目に遭いましたがw)、代わりに彷徨っていた記憶は無くし…元通り、かな?
「口裂け女」の出自が意外なところにつながりました。バンシー隊の一員だったのか…。しかも素は相当気弱。今の姿も望んだものではない…ということは、年取る事もできない体にされて、いろいろあったんでしょうね…。 ダリアの「癇癪」の原因は彼女絡みなのかも。二人が直接会った時に何が起こるのか。また因縁がひとつ出来ましたね。
-
紛争でしたら八田まで 16巻

インドネシア。最先端企業で働くキャリアウーマン、マデリンが死んだ元彼の「呪い」でひきこもってしまった一件の解決に向かった百合。
調べていくとインドネシアを東西に分けるジャワ人とパプア人の確執、マデリンの務める石炭採掘企業に対する悪評…等が巧妙に組み合わされている事に気づきます。
元々マデリンの元カレアディは死んでおらず、別れた彼女をちょっと後悔させてやろうとマデリンの故郷の呪いを真似て見せた後にバツが悪くなってくもがくれしていただけなんですが、その情報を得て利用しようとした者がいました。
「この呪いに関わる2つの事象が交わり1つの”ナラティブ“が作り出されました 『大企業のジャワ人達がパプア人女性をいじめて追い出した』」
ここにもうひとつ、サステナビリティ的に不利な石炭関連企業であるマデリンの会社が採掘しているパプアの石炭鉱山は、鉱山はアメリカ資本のもの…地代はジャカルタ政府に支払われる、パプアには利益が入らない構造である…という問題が加わると…。
「つまり『パプアの資源を搾取する憎き石炭企業のジャワ人達が 社内で唯一人のパプア人女性をいじめて追い出す』というナラティブが完成する」
一社員のひきこもり問題が国家分断の策略まで繋がってしまいました。 こういう手を使う人間…居ますね。
放っておけば中露対日欧米の新冷戦に巻き込まれて、最悪インドネシア分割まである…!
早速対抗策を練る。アディが生きている事をSNSで発信、マデリンはパプア工場から企業イメージ回復活動に従事。パプア側の利益を代表する活動を行なっていく。 まだ情報工作が始まったばかり…噂レベルなら事実の発信で否定は難しくはない!
依頼終了で帰りの飛行機を待つ百合。近くのベンチに座るのは…カイ! やはり一連の動きはこいつの仕込みでした。更にマデリンが異動して空いたポストに中国政府の息のかかった者を送り込む算段を…転んでもタダでは起きない!
「僕は先に行ってるよ そこでこれから…世界の命運を決めるアメリカ大統領選が始まる」
…大統領選で何か仕掛ける気か。
百合の方の次の任地はスウェーデン。クルド移民問題に切り込みます。
移民受け入れに積極的なスウェーデン。クルド人居住者の多いステーンプロー団地においてスウェーデン人とクルド人との間の確執が深刻化している様子。ただ管理会社側からはまるで状況が把握できておらず…。
「…つまり私の任務は… 団地内を観察して 課題を特定して 解決方法を提示する ってことですね」
…コンサルタント会社ってこんなザックリした依頼も受けるんですね…。
団地に溶け込めないクルド人の若者たちがヘイトラップグルーブを中心にまとまり、良からぬ雰囲気を出しています。クルドは国を持たない民族。スウェーデンにいてもクルド語しか話せず、クルドコミュニティの中で暮らしている者もいれば、スウェーデン生まれでクルド文化など知らないのに見た目からスウェーデン人扱いされない者も…。
「『移民』と一括りにされる我々ですが決して一枚岩ではありません…」
ラップグルーブに属する移民2世アズマルはガチガチの国粋主義者エリックとぶつかり合って段々仲良く…。 百合が見つけたエリックのレコードコレクション…日本で流行った「ボニー・ピンク」や「カジヒデキ」とか…アズマルの母もよく聞いていたということで縁が繋がりました。
グルーブでもイマイチ仲間外れ扱いだったアズマル。
「スウェーデン語でラップ乗せれば?」
百合のアイデアでスウェディッシュポップを取り入れた曲を作って行きます。団地の住人が集まる夏至祭りで曲を流そうか、という話になりますがどうもクルドコミュニティが祭りで何かやろうとしておるようで…。
国がない、と言うのは辛い事なのでしょうね。同じく国を持たなかったユダヤ人が手に入れた国家イスラエルの現状を見ても、クルド問題の難しさは理解できます。日本にもあるこの問題、解決する道はあるんでしょうか?
個人同士なら理解し合う事も出来そうなんですが…。
-
古見さんは、コミュ症です。 35巻

「なんで女装してないの!?!?!?」
文化祭3日目…ちょっと時間が戻りましてw
普通に文化祭を見て回ってた古見さんと只野くんを伊調理事長となじみが拉致。
「カップルコンテストだーーー!!!」
閉会式に乱入して無理矢理カップルコンテストなるものを開催w
「有名カップルは強制参加だよ!」
強引すぎるw 更にここで只野くんに女装させる意味は無いですよねw
和貝くん留美子ちゃんペア、日岐ちゃん主城ちゃん(!)ペアなど出場して鎬を削りましたが…優勝はサッカー部副キャプテン銅鑼井門、後輩マネージャーヌル崎ペア…いや誰だよw
さぁそんな感じで皆に認められるカップルになっているのが和貝くん留美子ちゃん。彼女っぽく和貝くんにお弁当を作ったりしているんですが…
「あ、そうだ 次のお休み和貝くん家行っていい?」
家族に挨拶しておいた方がいい、とか言ってる留美子ちゃん。
「それって将来をみすえて…ってこと!?いや勿論俺は構わないけど…積極的すぎるだろ!女の子ってこうなの!?わかんない!!」
なんか深刻な和貝くん。
「挨拶するかしないかだったらした方がいいぢゃんね その方が親御さんも安心だろうし」
めっちゃ軽い留美子ちゃんw
この認識は「親御さん」も同様で…スーツ着て待ち構えている和貝お父さんw
「家に挨拶に来るってことはアレだよな!結婚とか…な!俺たち家族になるってことだよな!!」
テンパってるお父さんのところにギャルメイクで現れる留美子ちゃんw
「ちょり〜っす♡」
「ギャルだ!!!」
…最悪の第一印象w
ただ留美子ちゃんが料理する流れになって大分持ち直し…やっぱり胃袋掴んどくと有利。
「俺がいない時でも武利にメシを作ってやってください」
「もちです」
「結婚も許そう」
「結婚???」
ここへ来てようやく意識の差に気付く3人。笑い話で終わりましたが…。
「武利…おっぱい大きいのもいいモンだな…」
…いや、お父さん、おっぱい大きい子はあまり真面目じゃないみたいな偏見があったみたいで…言い方w
さて、メインの方w 古見さんと只野くんですが…古見さんが自分を好きと勘違いしている甲斐くん(今更?w)が只野くんに決闘を挑んだり。
意識するしないに関わらず誰かを傷付けている事に気付かされた只野くん(留美子ちゃんとか)。
志望校に碧山学院大学(古見さんが推薦で受かった大学)を入れた只野くんでしたが判定はD…。
古見さんと同じ大学に行きたかったのですが現実は厳しい。
「自分が普通の人間だと思い知らされます」
諦めてほしくない古見さん。「…でも」
「…でも まだあきらめてません」
先手を取った只野くん。今までは多くの人と同じであることに重きを置いて来た。でも古見さんと付き合ってこのままではいられない、と思った。
『硝子のこと 絶対幸せにしろよな』
留美子ちゃんの言葉が頭に響く。
「もう普通でいることは辞めました」
無難に過ごすだけだった只野くんが変わりました。昨日の自分を越えて新しい自分に。そう思えるようになったのは間違いなく古見さんに出会ったから。
…古見さん只野くんの決意を聞いて一計を案じます。
「私も…只野くんと同じ大学に行きたい です なので…私が勉強を…教えます 来週から自由登校なので 合宿を しましょう 私の祖母の家で一ヶ月」
ちょっと古見さん?! 暴走してない?!
…事態はもう止まりません。二人は新幹線で古見さんのお祖母ちゃん家へ!
で、この合宿編が「古見さん」最終章になる、と予告が。 …そうか、終わるのか…。てか二人ひとつ屋根の下って、どこまで行くの…w
さて、それはそれとしてしばらくぶりで出てきました「古見友人帳」。3-1のメンツで大分埋まりまして、友達100人まであと3人。 あと誰に名前を書かせるのか…まぁ椎名さんは確定かなw
-
SCPって何ですか? 1巻

SCP…確保、収容、保護。 人類に対する脅威の全てを秘密裏に収容し研究する人類最後の砦…SCP財団。その報告書サイト…というのがザックリしたインターネットサイト「SCP財団」の説明です。
実態としてはオカルトネタをみんなで出し合う…人気があれば支持され、人気がなければ消えていく。 …大喜利だなこれはw
そのSCPを扱ったマンガ作品はいくつかあるのですが、この「SCPって何ですか?」はSCPへの入門書の形をとっています。
謎のマンガ原作者が編集部に送りつけてくるネーム(簡単な下書きの状態まで描き込まれている状態)を完成原稿にして欲しい、という依頼が大学漫研所属の先輩(M)と後輩(H)に出されます。
…文字にする前にわかる胡散臭さですが、
「え 受けようよ」
オカルト好きでSCPオブジェクトもよく知っている後輩Hは乗り気です。ですがそういう事に疎い先輩Mは尻込み気味。担当編集氏からの勧めもあってSCP入門マンガとして作る事に。
「…SCP入門のオリジナルパートに俺たちを登場させる…ってことか?」
原作パートと同時に二人が…主に先輩MがSCPが何なのかを学ぶオリジナルパートを入れよう、と言うのです。何故なら…
「違うんだよ妙に このネームSCPは出てくるけど『SCP』が出てこないんすよ」
つまりSCPオブジェクト…収容されるべき怪異は出てくるのですが収容するはずのSCPエージェントたちが…『SCP』という組織そのものが出てこない。
…それただの怪談話なのでは?と思わないでもないですが、扱われている怪異が間違いなくSCPオブジェクト。平行世界駅、降りても降りても底に辿り着かない階段、命がけの「ダルマさんが転んだ」、SCPを作り出す宇宙船…等、サイトを読んでいる人なら気づくくらいには知られているオブジェクトですね。
間違いなくSCPでありながら『SCP』が出てこない訳です。後輩Hが考えるに
「たぶんですけど このネームの世界にSCP財団は存在していない」
SCPみたいなものが一種の都市伝説として存在している…いわばSCPが「SCP」にならなかった世界線の話なんじゃないか…?と。
んん?それって現実世界もある意味そうだよなぁ…。 ネーム世界と作中世界がなんだか重なっているような…。実際この1巻の段階でMとHの間でも齟齬が出始めていたりします。
担当編集氏の目が何だか正気を失って来ているようにみえるし、ネームの紙束がSCP-001「ジョナサン・ポールの提言 論文の束」っぽかったり…。
元々SCPにはこのテのメタネタは多いし、ミーム汚染系…読まれる事がトリガーになって読者に影響が出るオブジェクト…も存在するので「フィクションだから安全」という意識を削ってくるのはSCPの十八番と言えます。
さらに原作者の梨先生は財団サイトに寄稿されている、いわばSCPガチ勢w
作画のお二人も実際大学漫研所属で、オリジナルパートとSCPパートを描き分ける…と作中と現実がオーバーラップする作り。
おそらくこれからもいろいろ仕掛けをうってくるものと思います。可能性としてはネーム世界と現実世界を繋げて「制御されてないオブジェクトが現実世界を侵食する」みたいな方向かな…?
見ただけでOUT、なのも多いからなぁ…SCP-280-JPみたいのが現実にあることにされると…恐ろしいw
-
ゆうえんち -バキ外伝- 6巻

「よく来たね葛城くん 心の準備はできたかな? うむ…では私から入園の心得を説明しておこう」
蘭陵王のお眼鏡に叶った無門。蘭陵王当人からゆうえんちの説明を受けます。
参加者は棺に入れられ、ゆうえんちの敷地内に置かれる。開始時間に自動的に蓋が開き、五百万円と交換したチップを奪い合う。チップを失ったら失格。武器の持ち込みは不可。敷地内からも武器になりそうな物は可能な限り取り除かれる。そのうえで敷地内にある物を武器に使うのは構わない(椅子で殴る、とか)。
最後に蘭陵王が出した話。ルールではないが…と前置きがありましたが、ここまで眉一つ動かさず聞いていた無門が目を剥く内容…だったらしいw こちらには説明なしです。殺人すら許される試合ルールでいったい何を聞かされたのか…。
棺に入る無門。
「いろいろ説明を受けたが俺の目的は金じゃない 柳龍光と闘うことだ そのためにいかに効率よく動けるかが重要」
開始と同時に身を隠し体力を温存する事を考えていましたが…。
「ご入園の皆様 大変長らくお待たせいたしました 只今よりゆうえんちを開園いたします どうぞ皆様この夢の国の冒険を存分にお楽しみください」
ふざけたアナウンスと共に棺が開く。無門が見たのは…隣にある空の棺。
「おはよ かわいこちゃん」
後ろから棺の蓋でぶん殴る! 咄嗟に蹴り返す無門!
襲ってきたのはプロレスラー・ゴブリン春日。
開始前に棺から出るなとは言われていない、と超論理で棺の蓋を破壊して予め対戦相手の棺が開くのを待ち受けていました。更に言えばこの男は極東プロレスの元社長…物語冒頭で無門にボコボコにされた町田たちの親玉…思わぬ因縁です。
…いや仕組んだな?蘭陵王…。
「知ってるよ プロレスラーだろ」
「プロレスは強いぜェ」
「それも知ってる」
そこで周りを見回した無門が気づきます。ここは本物の遊園地。そして大木のあるこの広場は…。
「あの映像で見た 先生と柳が闘った場所だ なんて趣向だ蘭陵王」
否が応でも上がるテンション。
「それで坊や キミの名前は」
「…葛城無門」
「は? そうかお前か… 町田をやった坊やってのは なら遠慮はいらないってことだな」
ゴブリンの方も因縁に気づきました。もう両者共退けません。
棺の蓋で殴りかかるゴブリン!無門は同じく棺で受け、隙をついての金的蹴りで形勢逆転!倒れ込むゴブリンにとどめを…刺さない?
「なんだ もうやめちゃうの?」
…まるで効いてない。倒れたのも誘い。
『これがプロレスラー 耐久力が人の域を越えている』
「なんだ まだ始まったばかりじゃないの」
二人の動きが一瞬止まったところにふらりと現れた男…。
「ここはかつて…馬鹿な漢と闘った思い出の場所なんだけどねぇ」
そこに知った顔の漢が立っていた 初めて会う しかしその漢が誰であるか知っている 忘れようのない顔 柳龍光
追い求めていた標的が目の前にいる!
共闘の誘いもありましたが(しかも両方から!)闘う理由の異なる3人ではそれも叶わず。
柳に復讐したい無門、観客が湧く勝負をしたいゴブリン、「敗北を知りたい」柳…。
結局、柳は去り無門とゴブリンが闘う事に。
「キミは私に興味があるようだが 私は負ける奴に興味がない 行くよ 朝まで生き残ったらその時に遊んであげるよ」
そう言って柳は消えていきました。
「10分やる 好きに攻めてこい」
プロレスラー全開発言のゴブリン。その挑発に乗って攻めまくる無門。しかしまるで効きません。何せ僧帽筋が発達しすぎて首絞めすら効果がない…格闘マンガに出てきていい能力じゃないw
業を煮やして無寸雷神の体勢…両掌でゴブリンの頭を挟む…に入りますが
「おい そいつはプロレスじゃねぇだろ」
気迫だけで無門を離れさせる。
「いまやろうとしたの町田を倒した技だな そんな地味な技で客を冷めさすんじゃねぇよ」
あくまで観客を湧かせる事が第一のゴブリン。
…その観客がゴブリンのイメージ…妄想の産物っていうのが問題なんですが…。
プロレスラーならどんな危険にも踏み込まなければならない。血が出ようが肉が切れようがお客さんがいる限り。
「狂うんだ どっちが狂えるか狂いっこだよ 馬鹿の比べ合いだよ俺らのやってることはさぁ」
まさに狂気。一転して一方的に攻められる無門。しかし苦し紛れに放った蹴りが効いた…?
「そうか! 俺はゴブリン春日に惑わされていた」
ゴブリンは狂乱しているように見えて無門の攻撃を巧妙に誘導していました。予め攻撃が来るのが分かっていれば、そこの筋肉を固めて耐えきることは可能。彼は狂っているように見えて常に冷静に戦略を立てていたのです。 魅せる…演技込みの格闘。これもまたプロレスか。
「ごめんなさい 春日さん」
帽子を脱ぎ敬意を表す無門。柳とのことを優先するあまりゴブリンに本気になっていなかった。体力の温存とか余計なことを考えていた。その事を謝る無門。 太山の教えが脳裏に響く。
『いくら自分が…傷ついていようが相手が…弱っていようが言い訳にならねぇ 向かい合えば全力でぶつかり合う…わかるか? おれたちは格闘技をやっているんだ』
一旦対峙したら相手に全力を傾けないのは失礼にあたる!
「全力でいくよ春日さん」
誘いを無視した打撃でゴブリンを追い詰める無門。それでもゴブリンのタフネスは異常…打撃で倒せる気がしない。
無門は「以前から思いつきはしていたが試すつもりはなかった」技を放つ覚悟をします。
無寸雷神を…心臓に向けて撃つ!
無寸雷神心打
心臓に直接ダメージが通る…鼓動が止まるかも知れない危険な技! 実際ゴブリンの心臓は停止しましたが…それでも殴りかかって来る! なんという執念!
覆いかぶさってきたゴブリンにもう一発、頭に無寸雷神を喰らわせてようやく止まり…。
一応ゴブリンの心臓は再度動き出したので、無門は殺人犯にはならずに済みました。
ゆうえんち一戦目 葛城無門対ゴブリン春日は葛城無門の勝利! しかしゆうえんちにはこのクラスのバケモノがまだまだウヨウヨしている訳で…。もう一回柳と会えるのか無門?
しかしゴブリン、過去エピソードを見ていると狂気が嘘とも思えません。狂乱しながらも打撃を誘導するクレバーさを保持していた、という事になります。 これって自分の精神を完全にコントロール出来ている、ということで…外見よりもずっと完成された格闘家だった、と言うことに…。
これはバトルマンガで時々ある「序盤の敵がよく考えたら無茶苦茶強かった」案件なのでは?w
-
冒険王ビィト 18巻

グランシスタに逗留して疲れを癒すビィト戦士団。お風呂で親睦を深める女子メンバー…と同時に男風呂で親睦を深めるグランシスタ王とキッスw
一転してキッスを気に入ってしまったポアラパパ、審判を下すに当たって彼をよく知らなければならない…として1日中引っ張り回しているらしい。
「…一つ教えておこうキッス ワシはな 一度惚れるとしつこいよ」
…パワーでガンガン押していくところは親子で変わらないなぁw
大浴場を取られたビィトたちはバスターがよく使う露天風呂へ。
「…スレッド! 聞いてくれ 頼みがある おれの仲間になってくれねえかな」
反発しながらも気になっていた二人。
「同じ死ぬなら今後はおまえの側にいた方がつまらんことでイライラしないで済む…!」
「いいだろうビィト 強化人間とやらが何年生きるのかは知らんが…オレの残りの人生…全部くれてやるよ おまえと…おまえの戦士団に!」
腐れ縁だったスレッドがついに正式に戦士団メンバーに。 そして翌日。キッスへの裁定が下る日。
「キッス 君への判決はもう決めている …終身刑だ! ビィト戦士団へのな!」
「生涯をこの戦士団に捧げ戦いの中で過去の罪を償いなさい 君は…バスターなのだから!」
「あ…ありがとうございます王様 ぼくにとって…最高の刑です!」
こうしてキッスはバスター復帰。またミルファも正式にビィト戦士団に加入。新生ビィト戦士団はビィトを団長にポアラ、キッス、スレッド、ミルファの5人体制となりました。
このビィト戦士団に王から与えられた任務が、グランシスタ北西のキューロック山脈を越えた先の探索。
「山の向こうに広がるのは最果ての地…エンドワールド!」
そこはあの魔賓館があると言われている場所。
バスター協会も全容を掴んでいない、魔人たちの本拠地とも言える暗黒の大陸。
「行けビィト! そこで翼の騎士が君たちを待っている!」
気流の関係で飛行機でも越えられないキューロック山脈を越える為、ビィトたちが取った道。それが魔人たちが使う「地脈の扉」でした。
しゃぎーが自由自在に使っている扉が固定された物らしく、低級の魔人が魔賓館に行くための通路なのですが…。
「…待て! 今すぐその場から逃げろ!」
扉を開けようとするビィト達に掛けられる警告。
「外へ走るんだ!急げ!」
程なく光を発し始める地脈の扉。すぐに爆発!周囲が消し飛ぶ程の威力をどうにかシールドで防ぎ事なきをえます。
ビィトたちを脱出させたのは…星を七つ付けた魔人!
「私の名はノア 『魔人博士』と呼ぶ者もいる」
「なんで魔人のあんたがおれたちを助けたりしたんだ?」
「早合点するなビィト 助けたとは限らん」
「スレッド…だったか 君が正しい」
全くノーモーションで突っ込んでくるノア…反応できずまともにくらうスレッド! ポアラとキッスも巻き込まれ…一瞬で3人戦闘不能!
「…あのまま生き埋めになられては死亡の確認が面倒だから出てもらっただこだ 私のこの手で…ビィト…君を殺す!」
この超スピードの攻撃…まともにやっては勝ち目がない。
「でも…あれはただの超スピードじゃねぇ気がする なんていうか…それだけじゃねぇんだ!」
違和感を感じつつも言葉にならないビィト。
「オッケー 君のその直感に賭けるわ」
雷の天力を纏うことで反応速度を上げて突っ込むミルファ。 ビィトに判断材料を与える為に身を賭した!
ミルファの突進を瞬時にいなし、こともなげに一撃! そのまま倒れてしまうミルファでしたが…。
「…あああああっ! …マジかよ!そんなのアリなのか…!?」
何かに気付いたビィト。ひとりシールドを構えます。
「正直勝てる気は全くしねぇが…多分一対一の方が戦いやすいはずだ!」
「…行くぞ ビィト」
躊躇せず攻撃を叩き込むノア。
「見えた!今まで見えなかった命中の瞬間っ! おれが…『理解』したからだッ!!」
シールドをブレードに変え、カウンターを叩き込む!
「凄い…!」
「…あの光のような突撃に対応するなんて…!」
しかしビィトはそれを否定します。光の速さで動いたのはノアではなく自分たちの方だと。
「つまりさ ちょっと信じたくはねぇんだけど…動いてたのはこっちだ …っていうか『こいつ以外の世界全部』だ ノアにはそれを一瞬で動かす力があるとしか思えねぇ」
…つまり相手が近寄ってくるのを待って拳を出してる? ミルファの才牙を避けた時は周りをぐるっと回した? 何、どうやんのそれ? 磁力とか重力とかで無理やり引きつけている、とかの方がよほど理解しやすい!?
ビィトは目に映る風景やノアの筋肉の動きの噛み合ってなさから違和感を感じていたのだろう、ということですが…。
理屈が分かっても光の速度で攻撃されている事実は同じ。動きを理解したからかろうじて反応して一撃入れられただけ。
「同じ手をもう一回くらってくれるような相手じゃねぇだろうしなぁ…」
「…と言いつつもビィト…話しながらでも君は必死で頭をめぐらせているな? なにかこの私に一矢報いる方法はないか と」
「あったりまえだろ あんたに殺られるわけにはいかねえ ここで死んだら暗黒の世紀を終わらせられねぇからな!」
「本気…なのだな…常に…!」
構えを解くノア。
「乱暴なやり方になってしまったが…君の真髄を見極めるにはこうするしかなかった この手で試したかったのだ 君が…私の生命とこの世界の運命を賭けるに値する男かどうかを…!」
「ますますわっかんねえ! 魔人のあんたにこんなこと言うのも変なんだけどよ!もうちょっとおれの頭でもわかるように説明してくんねーかな?」
「…どうもいけないな私の悪癖だ 魔人たちにも『話が理解できない』とよく言われる そうだな…君にとって一番理解しやすい言葉で簡潔に言うなら… 私を…ビィト戦士団の一員にしてほしい!」
「なっ…なんだってえぇえっ!?」
ノアさん、やっぱり言葉が足りません。考え過ぎてどうしても途中の説明がトンでしまうタイプのようです。真面目な顔してギャグをやる枠かなw
目的のためにビィトたちの力を借りたい、ということなんだと思いますが、人間に協力を求める…ということは「魔人には持ちかけられない話」ということで…それはやっぱり魔人が手を出せない存在を除去するためにビィトたちを手引きする、って事では? …ターゲットはシャギーでは?
魔人側の事情も明らかになりそうですね。 ついに「ビィト」も終わりが見えてきた…かな?
-
明日の敵と今日の握手を 5巻

空を駆けるドラゴンフライ皇国人道派遣艦隊。 協商と同盟それそれの将兵の遺体交換の為…とついでに貿易しづらい物資を中立のドラゴンフライを通すテイで融通…密貿易だな!?
表だけ整えた相当黒寄りのグレーですが、これの総指揮がハラルド。しかも物資調達業務を請け負ってるのがハラルド自身が設立したダミー会社…絶対それだけじゃ済まないなw
「パイナップル缶 桃缶 バナナ缶全て欠品なし」
ジェームズが用意した人道支援物資。もちろん中身はそのままではなく、薬用アヘン、キニーネ、カフェイン…禁制品!ガチ密輸w
しかも戻り…ミットル帝国からの積載予定品というのが…。
「感謝してくれると嬉しいですな 私も良かれとやっているわけですから 我が国の陸軍省は感謝しますよ ミットル製光学機器とスペアパーツが手に入るわけですからな」
ブレタニケで照準器系の部品は大半をミットル製品で賄っており、今から国内で作ろうとしても技術的に無理…だからって言い訳しようもない軍需物資を運び込もうってのか?!
「言っておくが私は正規の手続きを一切逸脱していないぞ?」
中身の事さえ言わなければそうなるでしょうね…書類上は完璧、と。
こうして事務処理と「缶詰」の警備を任されたアメリアのストレスはマッハで蓄積していくのですw
ところがその艦隊の旗艦と司令官がハラルド曰く「最悪の組み合わせ」。
「文人としても名高い清廉潔白の人」ノルマン・ウィルストーン少将と「不祥事の報告が全くない」正統派巡洋戦艦カンカキー…というまるで問題なさそうな経歴なんですが…。
「危機を予防するのではなく危機を放置した挙句に救世主として解決してみせる ああいう手合いが私は一番嫌いなのだ」
詳細は航海が始まると判明します。
それはもう厳重に警備していた缶詰。銀蝿…盗み食いしてくる輩は撃ち殺してでも止めよ、とアメリアは厳命を受けていたのですが…。
「桃缶の数が揃わない! 搬入前と搬入後の数が一致していない!!!」
はい、いきなり銀蝿発生w
「犯人を洗い出せ!どうせこの手の輩は目処も付く!」
…え?
「問題行動を起こす部下を放置していたのかね?」
…カンカキー艦長は出世の為の点数稼ぎに汲々としていて指揮下の不祥事をひた隠しにし、上への報告を怠っていた…つまりカンカキーは問題ない「優等生」なんかではなく、単に隠蔽体質だっただけ!
で、その上司は問題を丸投げして責任をとる気がない…経歴に傷がない、というのは責任を部下に押し付けて切り捨てていた結果に他ならない…!
そりゃ最悪の組み合わせに違いありません。 …恐るべきはブレタニケに居ながらその辺の事情を全て把握していたハラルドでしょうか。
ギリギリで発覚せずに回収成功。ミットルで遺体と共に「缶詰」も無事引き渡し。
引き換えにブレタニケに持って行く光学機器は…。
「型遅れの光学機器ばかりのあれか?あいつらまだあんな物を使っていると?」
ブレタニケには旧式の機器を渡し
「で 本命は我が国の分だ 戦前の契約通り新型を貰えるんだろうな?」
ドラゴンフライは中立国なので禁輸条項に引っかからない。
「言わんでも理解していると思うが我が国の敵国はもとより第三国への再輸出も絶対に禁止だからな? 合意は守れよ?」
「勿論だとも 私はやらないぞ」
ハラルドがミットルの担当者に受けあった直後
「そうそう バラストの処分をお願いしたい 予想以上にかさばってね」
即座にブレタニケの諜報部に連絡w
ミットル側もその辺は心得たものでドラゴンフライ本国到着まで査察団が付き従っていたのですが…。
ガリア到着時点で「スクラップ」の処分でハラルドと「業者」が取引する現場に踏み込む査察団。
「横流しの現行犯だ!明確な合意違反!」
スクラップの中に新式光学機器を紛れ込ませ協商に横流し、と見たのですが…。
「妄想も過ぎると毒だぞ 君たちが見張っている倉庫に全部そろっているはずだ リストを突き合わせて在庫確認でもしたらどうかね」
調べる査察団。
「あれ?全部ある?」
いやまだ分解してパーツだけ抜き取った可能性が…。
「では好きなやつをバラしていただきたい」
さらに調べる査察団。
「全部ある」
…つまり協定違反の証拠はなし。
「ところで原状回復は? 今日中にお願いしても?」
…専用機材もなくこんな精密機器を組み立てられる訳もなく。
「『完成品を引き渡す』それが合意のはずでは?」
「その残骸 早く原状回復を それともスクラップを渡されて引き下がれと?」
「正当な回復の要求だ スクラップでないと言うなら光学機器をリストアしてみせたまえ」
詰んだ査察団。
「…破壊したことはお詫びいたします ですが誤解があったようで…」
「サボタージュの現行犯で拘束させていただこう」
「ああそうだ 弁償はお忘れなく 違約金だけではなくこの艦隊の運航費用も輸送費として請求してやるので後程明細を楽しみにするといい」
…悪魔。最初に用意してあったのは本当にただのスクラップ。ガリア側をがっちりハメた上に毟れるだけ毟り取る気だ…。
「さて このスクラップを処分すれば我々の仕事も一段落だな」
…えーと、光学機器を自分たちで分解するのは禁止されているが、ミットルの人間が分解して直せなくなったのは我々のせいではない…。
「合意に違反しないと?」
「勿論だとも 私はやらないぞ」
…えーと、ミットル技官が公式の手順で分解しているからリバースエンジニアリングには最適な状態の部品だが、当人の言質を取ったのでこれはスクラップ。スクラップを売り払うのは合意違反でも何でもない…。
「つまり合意は破るまでもない…と?」
「勿論だとも 私はいつでも契約を守る」
総じて、遺体交換を仲介したドラゴンフライの人道的評価は上昇。密輸の三角貿易で協商同盟ともとりあえずの物資は確保。最新光学機器をアクロバットで協商に横流ししたドラゴンフライ…というかハラルドはミットル、ブレタニケ両方から引っ張れるだけの対価を引き出して丸儲け…。 ハラルド一人勝ちじゃんw
ほぼハラルドの掌の上、というのが恐ろしい。
今回彼のコントロール下になかったのは艦隊指揮官ノルマンと旗艦カンカキーの選別くらいですが、それも誤差の範囲に収めてしまった。 このサイコパス、どこまでやれるのか…。
ノルマンの分かりづらい無能ぶり、社会に出てみるとたまに居るんですね、こういう人。部下に仕事を『任せて』成功したら自分の手柄、失敗したら部下のせいでそいつを切り捨てる。責任を取る気がない上司…というのは部下から見たらストレス源でしかない訳で。 自分がそうだから更に上司のハラルドに頼る、という発想が出来ないのですね。
で、功績だけ集めるので外から見たら有能な人物に見える、と。 『平和の国の島崎へ』にもちょうどこういう人が出てきてますが、こういう人が中心にいると短期的には成果が上がるんですが、いずれボロが出て組織がズタボロになる恐れまであります。
さて、ラストで停泊中のカンカキーが爆沈してますが、まさかこれもハラルドの仕込みなのでは…?ノルマン追い落としの一手なのでは?とか疑ってしまうのは私の心が汚れているからなのでしょうか?w